研究実績の概要 |
成長円錐のリン酸化プロテオミクスにより同定された神経発達に重要なタンパクリン酸化部位のうち、統合失調症および自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder; ASD)のリスク遺伝子であるNLGN3遺伝子を選定して機能解析を進めている。NLGN3遺伝子のS745Aの変異を加えた培養神経細胞のシナプス数の変化を確認するために、High Content Screeningを用いてシナプス数を自動的にカウントする実験系の確立を行った。 シナプス発達および精神神経疾患に関連が報告されているKinase (TAOK2i, TNIKi, CDKL5i, LRRKi, GAKi, AKTi, RO48)に注目し(Crino, 2015; Duchon and Herault, 2016; Baltussen et al., 2018)、それらの同一のKinaseに複数のinhibitor候補があるLRRK2i(LRRK2-IN-1, JH-II-127, MLi-2, GSK2578215Aの4種類)や特異的なNegative control(SGC-GAKi-1に対するSGC-GAKi-1N)が入手可能な場合はそれらも添加した。結果全てのKinase inhibitorにおいて(それぞれn=6)DMSOのみ添加のコントロール(n=30)に比してシナプス数が有意に低下していた。最も影響の強かったSGC-GAK-1に注目し、濃度勾配をつけて9点の濃度(80, 40, 20, 10, 5, 2.5, 1,25, 0.625, 0.3125μM)をつけて解析したところ1神経細胞当たりの神経突起長とシナプス数が濃度依存性に減少していた。
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