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2020 年度 実施状況報告書

ライソゾーム機能不全が自閉スペクトラム症発症に与える影響と薬物コントロール

研究課題

研究課題/領域番号 18K07592
研究機関金沢大学

研究代表者

朱 紅  金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 博士研究員 (90778614)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード自閉スペクトラム症 / ミクログリア
研究実績の概要

前年度に引き続いて自閉スペクトラム症モデル動物を作製した。妊娠7日前後のラットを業者から購入し、合成二本鎖ポリヌクレオチド polyriboinosinic-polyribocytidilic acid [poly(I:C)]を母体に静脈注射し、まず胎児脳の遺伝子発現変化を調べるためにマイクロアレイ解析を行った。前年度までは妊娠12日前後にpoly(I:C)あるいは生理食塩水を母体に静脈注射し、妊娠15日および19日に胎児ラットの脳からRNAを抽出していた。しかしながら、仔ラットの行動解析で観られる異常が顕著でないため、妊娠18日の母体にpoly(I:C) あるいは生理食塩水を注射し、生後1日の新生児脳で遺伝子の発現変化を調べる実験も追加した。poly(I:C)によりV型H+-ATPaseのサブユニット遺伝子の発現上昇が検出された。これらの結果により、poly(I:C)による母体炎症は新生児脳のライソゾーム機能に影響することが示唆された。上記実験と並行して、ミクログリアあるいは未分化なグリオーマ細部株に高発現する糖タンパク(Gpnmb: glycoprotein non-metastatic melanoma b)の細胞内分布を免疫蛍光染色により調べたところ、ライソゾーム標識抗原CD68 (ED1) と同時局在することを見出した。そこで、Gpnmbのライソゾーム安定化作用の有無を調べるために、このタンパクを大腸菌で大量発現・精製することにした。 推定膜貫通領域およびカルボキシル末端を除いた部分を融合タンパクとしては大量発現させることに成功し、現在精製条件の最適化を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Gpnmbタンパクの大腸菌発現が遅滞した。

今後の研究の推進方策

1. 大腸菌で大量発現させ精製したGpnmbタンパクを上記ライソゾーム分画に添加し、形態学的変化を調べるとともに、以下の安定性試験に供する。
2. ライソゾームの安定性の確認(ウエスタンブロット法):ライソゾームの安定性維持作用をもつ膜タンパク[lysosome-associated membrane protein 1 and 2 (LAMP-1 and LAMP-2)] を指標にして、以下の実験を行う。新生児期の発達障害モデルラットおよび対照ラットから脳を取り出してホモゲナイズした後、ライソゾームとサイトゾル分画を得る。ライソゾームとサイトゾル各分画をSDS ポリアクリルアミド電気泳動にて分離し、ウエスタンブロット解析を行い、検出バンドを定量比較する。検出用抗体として、抗LAMP-1 抗体、抗カテプシンB 抗体に加えて、ライソゾーム機能不全のバイオマーカーになり得ると推測するGpnmbに対する抗体を、定量比較のための内部対照として、抗GAPDH(glyceraldehyde 3-phosphatedehydrogenase) 抗体を用いる。
3. 引き続き、ライソゾームの安定性の確認(組織染色):新生児期の発達障害モデルラットおよび対照ラットを4%パラホルムアミド溶液で灌流してから脳を取り出し、新鮮凍結切片を作製する。常法に従い、蛍光免疫染色を行う。一次抗体として、抗LAMP-1 抗体、抗カテプシンB 抗体、およびミクログリアマーカーとしてのIba1抗体と抗CD11b 抗体を使用する。上記の免疫染色に加えて、ライソゾーム安定性の指標となるアクリジンオレンジ (acridine orange)を用いて染色する。

次年度使用額が生じた理由

感染症流行により実験施設利用が制限されたため、実験量が減った。
前年度分の実験を繰り下げて行うことに予算を割り当てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Gene expression analysis of the fetal brain of rats following maternal poly I:C exposure during pregnancy.2020

    • 著者名/発表者名
      Asep Saefulloh, Eikichi Kamimura, Hong Zhu, Shin-ichi Horike and Shigeru Yokoyama
    • 学会等名
      日本生化学会北陸支部第38回大会

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公開日: 2021-12-27  

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