研究課題/領域番号 |
18K07596
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
吉村 篤 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90522079)
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研究分担者 |
角谷 寛 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (90362516)
栗山 健一 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (00415580)
飯田 洋也 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30733901)
森田 幸代 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (50335171)
松尾 雅博 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70456838)
藤井 勇佑 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20648042) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 術後せん妄 / 高齢者 / 注意機能 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
我が国の高齢化率の上昇を受け高齢者の外科手術数も増加しているが、それに伴い術後合併症であるせん妄の頻度も増加している。術後せん妄は脳の脆弱性を背景に、心理・環境因や術後侵襲等が加わることで発症し、転倒や原疾患の治療を阻害する危険から生命予後が悪化する一方で、適切な早期介入により予防可能な病態であることも知られている。せん妄の治療においては睡眠-覚醒リズムの乱れを是正する治療介入は極めて有効であり、メラトニン受容体作動薬の予防的投与が有用であることからも高齢者の睡眠-覚醒リズムの脆弱性がせん妄の発症へ関与する生理学的機序を明らかにすることは重要と考えた。本研究は、肝切除術等の消化器系手術を施術される患者を対象とし、術前の脳生理機能と術後せん妄発症との関係を検討し、発症を予測する生物学的指標の確立を目指すことを目的とする。 2018年度は倫理審査委員会の承認を得て消化器外科において全身麻酔下で手術を受ける70歳以上の患者を対象にせん妄の発症に影響する因子を探索する予備的な検討を実施した。それによりせん妄の発症頻度が明らかになるとともに、術前の認知機能が発症に影響する要因であることが示唆された。また術前の生体指標を評価する方法についても最適化を図るための検討を行った。 特に近赤外線光トポグラフィーについては研究代表者が過去に海外の施設において本研究に関連した計測を実施した経験があり、同施設での結果を解析し、本施設での研究使用に向けた計測条件や注意機能課題等の検討を実施した。簡易脳波計においても計測条件や特徴量の検討を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は研究代表者が海外施設で実施した関連研究の結果をもとに術前の生体指標評価を実施する予定であった。しかし当該施設におけるせん妄の発症頻度や認知機能に関連した要因を予備的に検討する必要があると考えた。また計測機器や注意機能課題について条件や評価方法についての再検討を行う必要が生じ、実施計画の見直しを行ったことで多くの時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
計測機器と注意機能課題について条件や評価方法についての最適化を完了し、倫理審査委員会での承認を得た研究計画の下でデータの集積を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金と人件費を必要とする研究の実施が遅れたため、支払いがなかった。また予備的検討の段階であり、生体指標のデータ解析に用いるソフトウェアの購入を行わなかった。 次年度においては謝金、研究協力者との打ち合わせ旅費、研究成果発表に用いる計画である。
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