研究課題
統合失調症は、自我障害や幻覚・妄想に加え、著しい認知機能障害や情動面の制御の障害を有し、重篤な社会機能の障害をもたらす難治性精神疾患であるが、いまだその病態生理すら十分には解明されていない。現在、ガンマ帯域神経振動と知覚や認知機能との関連を示す知見はあるが、我々が知る限り、情動の制御に関する報告はない。さらに、統合失調症患者における情動制御異常の病態生理は殆ど解明されておらず、簡単な心理実験やfMRI研究から、前頭前皮質が情動制御やその異常に関連するとの知見はあるが 、msec orderの脳活動を反映している脳波や脳磁図を用いた周波数解析の研究はなされていない。本研究のテーマでもある、“統合失調症の重篤な社会機能障害の原因でもある情動制御障害の病態に、ガンマ帯域神経振動異常が関わっている”との病態仮説を検証すべく、初年度は、実験系のセットアップならびに被験者のリクルートを開始し、まず健常者を対象に、脳波で予備的研究を行い、情動を制御(抑制)する際の、前頭部のガンマ帯域神経振動の変化を計測し、その解析を行った。その結果、情動制御時に前頭部のガンマ帯域神経振動が大きく変化することが示唆された。その結果の一部は、国内外の学会(SIRS2018、International Conference on Biomagnetism 2018、Annual Meeting of JSBP 2018、International Consortium on Hallucination Research 2018など)で発表した。また、上記予備的研究と並行し、脳波とfMRIの同時測定のセットアップも行い、同時測定の予備データの記録も開始した。
2: おおむね順調に進展している
初年度に行うセットアップと予備的研究を、概ね予定通り遂行することができたため。
2019年度は、初年度に行ったセットアップと予備実験をもとに、患者群を対象に研究を進めていく。
概ね予定通り研究は進んでいるが、一部次年度にも予備的研究を行うため。
すべて 2020 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
Brain Imaging Behav
巻: - ページ: in press
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