研究課題/領域番号 |
18K07607
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
三原 一雄 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30302029)
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研究分担者 |
近藤 毅 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40215455)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難治性うつ病性障害 / TNF-α / ラモトリギン / 治療反応性 |
研究実績の概要 |
うつ病性障害ではその難治化が問題となって久しく、新たな分類・対応の設定がこれまで以上に迫られている。難治性うつ病性障害群と血中腫瘍壊死因子(TNF)-αとの関連がこれまで検討されており、1)TNF-αが難治性うつ病性障害の病態生理に関与する、2)難治性うつ病性障害に対する治療薬の作用機所には血中TNF-α低下が関与する、3)TNF-α低下作用により難治性うつ病性障害が奏功する一群が存在する、ことが示唆されている。 そこで本研究では、本研究に同意の得られた少なくとも3種類の抗うつ薬あるいは気分安定薬に治療抵抗性を示した難治性うつ病性障害を60症例を集積し、症状、社会的機能、縦断経過を評価した。さらに、前治療薬を固定し抗TNF-α作用を有するラモトリギンによる強化療法を8週間行い、治療前および治療8週後までの2週間ごとにうつ病症状の重症度を定量的に評価した。治療前および治療後に10 mLの採血を行い、今後は血中TNF-α、TNF-αの受容体である水溶性TNF受容体1、水溶性TNF受容体2の測定を行い、更には、TNF-αの活性に影響を与える遺伝子多型を検索する予定である。 今年度の主な実績として以下が挙げられる。1)ラモトリギンの治療中断に至る主な原因としてラモトリギンによる皮疹が知られている。皮疹出現群(6例)では非出現群(78例)に比較し、治療2週目のラモトリギン血漿濃度が有意に高値であり、4.38 μmol/Lがその閾値であること英語論文として報告した。2)ラモトリギン代謝酵素であるUGT2B7は肝臓のみならず脳にも存在する。その酵素活性を規定する遺伝子多型は血漿ラモトリギン濃度には影響を与えないか、ラモトリギン強化療法の治療反応性に少なくとも部分的には関与することを国内学会報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の集積が順調に進んでいる。また、難治性うつ病性障害のラモトリギンによる強化療法に関連し、昨年度と合わせて計3報の査読付き症。英語論文を報告しており、国内学会でも計7報の学会発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も難治性うつ病性障害の症例の蓄積に努め、ラモトリギンによる強化療法に関連した論文発表および学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
血中TNF-α、TNF-αの受容体である水溶性TNF受容体1、水溶性TNF受容体2の測定を行い、更には、TNF-αの活性に影響を与える遺伝子多型を検索する予定である。試薬、ピペットなどの物品費にあてるため、次年度使用額とした
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