強迫症(obsessive-compulsive disorder: OCD)は、排泄物やばい菌などの汚れを過剰に恐れるあまり手洗いがやめられなくなるなど、繰り返しの行動で特徴づけられる精神疾患であり、その生涯有病率は2-3%と高いだけでなく、日常生活への障害が大きい疾患として知られている。本研究では、洗浄強迫の症状を有するOCD患者を対象に、バーチャルリアリティ(VR)ソフトウェアを用いて曝露反応妨害法を行い、その治療効果ならびに脳構造・脳機能への影響を調べることを目的としている。 強迫症患者10名と、健常者10名を対象に、VR空間の中でトイレ掃除を行うプログラムを体験してもらい、その治療前後で内発的動機づけに変化が生じるかを質問紙を用いて評価することを主な目的とし(主要評価項目)、強迫症状が誘発されたどうかを含む使用感、VR酔いなどの有害事象の有無を副次評価項目とする研究計画について、京都府立医科大学医学倫理審査委員会より承認を受けたが、2021年度も新型コロナウイルスの感染拡大が続いたため、データを収集することはできなかった。
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