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2020 年度 実績報告書

ADHDを伴う自閉症の小脳シナプス病態の解明とそれに基づく治療法についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K07610
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

久岡 朋子  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00398463)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード自閉症 / 小脳 / 注意欠如・多動性障害 / シナプス接着分子 / イムノグロブリンスーパーファミリー
研究実績の概要

[最終年度]小脳では、3~7個のバスケット細胞(BC)からの軸索が1個のプルキンエ細胞軸索初節部(AIS)に集束し、AIS周囲では各々の軸索終末が分枝してピンスーシナプスを形成している。Kirrel3欠損(KO)マウスのピンスーシナプスにおいて見られたBC軸索分枝の増加がBC数の増加によるのかを、パルブアルブミン(PV)の免疫染色により検討したところ、野生型とKOマウス間で分子層のPV陽性BC数に差は見られなかった。このことから、1個のBCあたりの軸索分枝が増加している可能性が示唆された。また、NF200とAnkyrinGとの二重免疫染色を行なったところ、NF200陽性のBC軸索は、AnkyrinG陽性のAIS周囲にのみ見られ、AISへの投射は正常であることが示唆された。これらのことから、Kirrel3はBC軸索の過剰な分枝の除去に関連している可能性が示唆された。
また、成獣の野生型、及びKOマウスの前頭前皮質や線条体、小脳、中脳の組織中のセロトニン濃度やドーパミン(DA)濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。その結果、KOマウスのセロトニン濃度には異常はなかったが、DA濃度は前頭前皮質において異常を示した。

[期間全体]ADHDを伴うASD様行動を示すKOマウスの小脳シナプス構造異常、及び小脳から腹側被蓋核を介して投射のある前頭前皮質のDA濃度の異常を見いだした。これらの知見から、KOマウスはASDの原因として注目されている小脳異常とADHDの原因として知られているDA神経伝達異常を併せ持つASDモデルマウスであることが示唆された。今後、このマウスの小脳を介したDA神経伝達異常の分子病態を解明し、それに基づいたDA制御薬等の探索によりADHDを伴うASD様行動の改善のための新たな治療法の開発をめざす。

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公開日: 2021-12-27  

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