研究課題/領域番号 |
18K07611
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三上 克央 東海大学, 医学部, 准教授 (90548504)
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研究分担者 |
須藤 信行 九州大学, 医学研究院, 教授 (60304812)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経発達症 / 無菌マウス / 腸内細菌叢 / 腸内細菌叢-腸管-脳軸 / 行動解析 |
研究実績の概要 |
我々は、脳腸相関を腸内細菌叢と脳機能の相互関係と捉え、腸内細菌叢が宿主のストレス反応に影響を及ぼすことを明らかにした。さらに、発達早期の腸内細菌叢がストレス反応だけでなく、宿主の精神活動や行動に影響を及ぼすと考え、無菌マウスを用いて行動解析を行い、無菌マウスは、常在菌叢マウスと比べ、活動性と不安症状が高まることを解明した。多動性や不安症状は、神経発達症に特徴的な所見であることから、我々は、発達早期の腸内細菌叢が神経発達症の行動特性に影響を及ぼすという仮説を立てた。 本研究では、神経発達症の行動特性である攻撃性や、神経発達症である自閉スペクトラム症に特徴的な社会性の問題に腸内細菌叢が影響するかについて、無菌マウスを用いた行動解析によって解明することを目的とした。昨年度は、一定の成果を確認した攻撃性について、国内外の学会で発表した。無菌マウスを、無菌マウス群と無菌マウスに常在腸内細菌叢を投与した群の2群に分類し、各群のマウスをアイソレーター内で飼育・繁殖し、2世代目のマウスを作出した。そして、母子分離後仔マウスを単独で飼育し、各群において同週齢の同群のマウスを対戦相手とし、1対1で対戦させ攻撃行動を観察した。対象のマウスの攻撃行動を観察しやすくなるため、対戦相手には攻撃性が抑えられた去勢マウスを使用した。その結果、無菌マウス群の方が、無菌マウスに常在腸内細菌叢を投与した群に比べ、攻撃性が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経発達症の行動特性である攻撃性については、一定の成果を確認し国内外の学会で発表した。社会性については、無菌環境下での実験系の確立を推進している。
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今後の研究の推進方策 |
攻撃性については、今後成果を論文にまとめたい。社会性については、無菌マウス群と無菌マウスに常在腸内細菌叢を投与した群の相違の解明を進めたい。各群のマウスをアイソレーター内で飼育・繁殖し、2世代目のマウスを作出した上で、仔マウスを飼育し、各群で同週齢のマウスを観察する。社会性を評価する実験系はいくつかあるが、無菌環境下で評価する系は確立しているとは言い難い。少々時間を要しても、当該実験系の確立を丁寧に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費用が、当初の見積もりよりも低額だったため、繰越金が発生した。次年度助成金は、学会参加費や無菌マウスの飼育と繁殖に必要な経費、無菌状態のアイソレーターを維持するための滅菌用品の費用に使用することを計画している。
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