研究課題/領域番号 |
18K07612
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小高 文聰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10349582)
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研究分担者 |
松田 勇紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10726540)
鬼頭 伸輔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20406987)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 顕著性ネットワーク / ドパミン / rTMS / effort discounting |
研究実績の概要 |
治療抵抗性うつ病患者のエントリーは堅調に進んでおり、2021年5月15日時点で23名の被験者が参加に同意し、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)前後の安静時機能的MRI(rs-fMRI)のデータの蓄積が進んでいる。 rs-fMRIデータに関しては、前年度より予備解析を開始しているが、撮像シークエンスがHARP法に変更されたことに伴い、前処理法の確立を行っている。 具体的にはパイプライン作成用ラッパーである、「Nipype」を利用し、FreeSurfer、FSL、ANTSからの前処理用関数を用いたパイプラインの比較を行っている。同時にHCP pipeline、fMRIprepとの比較も行い、最もシグナル・ノイズ比の少ない前処理方法を決定し、解析方針を確定する予定である。 臨床応用を見込むため、ネットワーク抽出のための解析方針は独立成分分析(ICA)などの確率的なものではなく、ROI-to-ROI(ネットワークに所属する脳領域)で行う予定である。シード領域には①前帯状皮質膝下部(sgACC)、②前帯状皮質膝前部(pgACC)、③線条体、④左背外側前頭皮質(lt-DLPFC)を選択し、機能的ネットワークに関してはサリエンスネットワーク、デフォルトモードネットワーク、顕著性ネットワーク、認知コントロールネットワークの構成脳領域との関連性を探索する予定である。更にデータセットから、rTMSの刺激部位に重要な、lt-DLPFCと線条体のanti-correlationに関わる事後解析を行っている。 アンヘドニアに関連する持続握力系と質問紙を用いたeffort discountingモデルのデータ測定と解析を行っている。持続握力系を用いた実験に関しては、先行研究から線形モデルおよびシグモイド関数のフィッティング適合度を確認し、シグモイド関数の適合が良好であれば、最終的にAUC解析とアンヘドニアとの連動性を見る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の蔓延による入院の制限や遅れにより被験者のエントリーが停滞したため。プログラムの難易度から持続握力系を用いたeffort discountingモデル実験の妥当性検証に大幅な遅れ、ドパミン・ノルアドレナリン神経核のMRI撮像法の妥当性検証の遅れがあったため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を含め、被験者のエントリーを継続し、最終的に40-45名程度を目指し解析に十分なパワーを確保する。アンヘドニアとeffort discountingモデルの関係については最終年度に十分探索し、可能であればrs-fMRIと連動させた解析を行う予定である。神経メラニンに関しては、より正確なROIをとるための3D撮像法を確立する。rTMSの治療に重要な、左DLPFCと線条体のanti-correlationについては分析を進め、これらについては順次論文化を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでのMRIの撮像費用等の支払いが遅れたため。
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