本研究では摂食障害治療者および当事者と家族、モデル事務所、マスメディアに対するアンケート調査を行った。一般人474名、当事者240名、支援者53名、医療関係者254名から回答を得た。一般人の19%、一般男性の36%は摂食障害という病気を知らなかった。痩せすぎモデルが摂食障害の発症に影響することは一般人男性の64.7%しか知らなかった。日本での痩せすぎモデル規制については、一般人の63%が必要、32.5%が検討すべきとしており、当事者、支援者、治療者の約80%が必要と考えていた。一般人男性および10代の摂食障害についての理解の低さと、痩せすぎモデル規制への賛同的意見の多さが明らかになった。モデル事務所、マスメディアに対するアンケートではマスメディア21名と芸能プロダクション5名が回答した。摂食障害という病名は88%が知っていた。痩せすぎモデルが摂食障害の発症に影響することはマスメディアの男性の75%は知らなかった。日本の若い女性に痩せすぎが多いことも42%が知らなかった。日本での痩せすぎモデル規制については、50%が必要、38%が検討すべきだと回答した。回答者の所属するモデル事務所やメディアで痩せすぎモデルに対して対策をとっているのは8%のみであった。マスメディアおよび芸能プロダクションの摂食障害と痩せすぎモデル問題についての理解の低さが明らかになった。一方、痩せすぎモデル規制への賛同的意見が多かった。今後これらをもとに摂食障害の予防と啓発を行っていく必要がある。2023年度は以上の結果について論文執筆を行っており、2024年度に投稿予定である。 雑誌メディアに露出する痩せすぎモデルの時代的変化とその実態についての国立国会図書館での調査は、2020から2022年度は入館制限があり出来なかったが、2023年度より入館制限が解除されたため調査を再開し、現在解析中である。
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