研究課題/領域番号 |
18K07620
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
岡田 麻美 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, 研究員(移行) (30517280)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エクソソーム / アストロサイト / うつ病 / トランスレーショナルリサーチ |
研究実績の概要 |
うつ病の病態や治療効果発現にアストロサイトが関与する可能性が考えられている。本研究では、アストロサイト由来エクソソーム(以下ASTエクソソーム)と呼ばれる、末梢血で回収可能とされるアストロサイトを反映する成分の中に、うつ病の病態及び治療反応性に関連する分子が存在すると仮説を立てた。トランスレーショナルリサーチの観点から、マウスを用いた in vivoでの評価からうつ病の病態及び治療反応性に関連するうつ病のバイオマーカー候補分子を探索し、さらにヒト由来サンプルでその有用性を検証する手順で進めた。本年度は以下のような成果が得られた。 ①ASTエクソソームの標識となるアストロサイト系細胞表面タンパクについて既に報告されているものには末梢の影響を受けるものもあり、より中枢を反映するものを見出すため、複数種類の抗体を検討した。超遠心機などを用いてマウスの脳および血漿から回収したエクソソームを比較検討し、数種類の有望な表面タンパクを見出すことができた。② 市販のエクソソームELISAキットに①で見出した抗体を組み合わせて、ASTエクソソームを定量する条件を確立した。③マウスのうつ病モデル、治療反応性モデルから回収したエクソソームについて②を用いた際に、ASTエクソソームの動態が変化している可能性が考えられる予備的結果が得られた。④研究協力者の協力のもと、健常者およびうつ病患者の脳脊髄液と末梢血(末梢血は治療前後を含む)の回収を進めることができた。⑤①で見出した細胞表面マーカーを発現するエクソソームがヒトの末梢血中にも存在することを、ウェスタンブロット法および②のELISAで確認した。また、定量の条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ASTエクソソームを評価するためのアストロサイト系細胞表面タンパクの絞り込みや定量化の条件検討などの基礎検討に時間を要した。そのため、ASTエクソソームの特異的精製方法の確立やin vivo評価系でバイオマーカー候補分子を見出す段階に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
マウスのうつ病モデル、治療反応性モデルにおいてASTエクソソームの動態が変化しているか否か追試する。また、今年度の検討で見出したアストロサイト系細胞表面タンパクに対する抗体を固定化したビーズを作成し、AST由来エクソソームを特異的に精製する方法の条件検討を進める。その後まずはマウス由来のサンプルでバイオマーカー候補分子を探索し、最終的にはヒト由来のサンプルで有用性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は計画していたよりも少ない予算で進行したため。
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