研究課題/領域番号 |
18K07624
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
籏野 健太郎 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50228475)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中性子補足療法 / BNCT / PET / 腫瘍選択的ペプチド / フッ素-18 / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
フッ素-18標識フッ素ガスの製造法の最適化を行った。安定同位体である酸素-18を濃縮した酸素ガスにサイクロトロンで加速されたプロトンビームを照射し18O(p,n)18F核反応にてフッ素-18を製造した。酸素-18濃縮酸素ガスを冷却容器に回収したのち、ターゲット容器にフッ素ガス/アルゴンの混合ガスを導入し、2度目のプロトンビーム照射を行うことで同位体交換を行い、フッ素-18標識フッ素ガスを製造した。製造の諸条件を最適化した。混合ガスを0.3~1%に調整したところ、1%で良好な回収率が得られることがわかった。得られたフッ素-18標識フッ素ガスを用いて18F-fluoro-borono-phenylalanine (FBPA)を製造したところ、このフッ素-18標識フッ素ガスが良好な比放射能を持っていることがわかり、さらなる標識合成を行う見通しがたった。 こうして得られたフッ素-18標識フッ素ガスを用い、o-caroboraneの標識を試みた。o-caroborane (C2B10H12) をクロロホルムに溶解し、冷却下フッ素-18標識フッ素ガスと反応させたところ21%の放射化学的収率でフッ素-18標識体が得られた。今後基質としてm-caroborane、p-caroboraneやその他のボロンケージ化合物とその誘導体のフッ素-18標識を用い、反応の一般化を図る。これをペプチドと結合させるため、活性誘導体化を行い、BNCT製剤開発のワークフローとして確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フッ素-18標識フッ素ガスは、高価な酸素-18濃縮酸素ガスをターゲットとして用い、これをボンベ中に回収して再利用する。本年はこのシステムに問題が生じた。ガスの供給回収ラインにつまりが生じ、操作不能に陥った。当該ラインを交換することで問題は解決したが、これに3か月を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は得られたフッ素-18標識カルボラン類を活性化しペプチドと結合する方法を整備する。ペプチドを化学修飾する方法はいくつか知られる。コハク酸イミドエステルなど活性化されたカルボン酸はN末端やリシン残基の修飾に用いられる。マレイミドはシステイン残基のチオール基と結合する。また、近年アジド基とアルキンの反応による簡便なクリック反応が開発され、生理活性物質の化学修飾に用いられている。これらの方法を用いてフッ素-18修飾カルボラン類と腫瘍選択的ペプチドのconjugateを生成し、BNCT製剤開発のワークフローとして確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」で述べたように、機器トラブルのため研究の進行がやや遅れた。このため、研究費の執行も遅れたが、次年度はこれを取り戻すべく研究を推進するため、当該研究相当分の資金が執行されると考えられる。
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