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2018 年度 実施状況報告書

環状ペプチドライブラリーを用いた放射性薬剤探索研究の新機軸

研究課題

研究課題/領域番号 18K07625
研究機関群馬大学

研究代表者

山田 圭一  群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70323334)

研究分担者 渡辺 茂樹  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員(定常) (10450305)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード環状ペプチドライブラリー / 標識合成 / 放射性ハロゲン / ペプチド固相合成
研究実績の概要

今年度は、標識前駆体としてケイ素置換D-フェニルアラニン残基を含む環状ランダムペプチドライブラリー(5残基)を調製することを目的として以下の研究を実施した。
1)研究コンセプトの妥当性を検証するために、αvβ3インテグリンに特異的に結合する環状RGDペプチド(cyclo[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Lys)をモデルペプチドとし、その合成法を検討した。まず、ビルディングブロックとなるBpocアミノ酸(Bpoc=2-(4-biphenylyl)-2-propyloxycarbonyl)の合成方法を検討した。文献法に従いTriton Bを塩基としてアミノ酸のBpoc化を試みたが総じて収率は低く、Pheに至っては反応が全く進行しなかった。そこで、塩基をテトラメチルグアニジンに変更したところPheのBpoc化反応は進行し、中程度の収率で目的とするBpoc-AAを合成することができた。次に、研究計画に従いBpoc-AAを用いて環状ペプチドが合成できるか確認した。固相担体には環状ペプチドの合成に適したオキシム樹脂を選択した。アミノ酸伸長により得られた鎖状ペプチド樹脂に塩基を作用させて環化と同時に樹脂からの切り出しを行い、目的とする環状RGDペプチドを効率よく得ることができた。
2)ペプチドスクリーニング法の評価における環状RGDペプチド以外のスタンダード物質の候補選定を行った。代表者らが研究してきたハロゲン含有疎水性環状ペプチドSA-I(cyclo[Phe(4-I)-Leu-MeLeu-Val-Leu]、MeLeu=N-methyl-L-leucine)が培養乳がん細胞MDA-MB-231に対して細胞毒性を示すことに着目し、細胞内外におけるSA-Iの標的探索を行った。その結果、SA-Iは、アデノシン受容体(A2B受容体)の発現を効果的に阻害していることを見出した(論文発表)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初研究計画において提案した研究コンセプトの方向性が正しいことは確認でき、目的の一部を達成することができた。しかし、合成条件検討で予想外に時間がかかり、18種類のビルディングブロック全てを合成することができなかったため、ライブラリー合成には至らなかった。そのため、進捗はやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、前年度に確立した合成法を用いて前駆体ペプチドライブラリーを調製する。その後、Br-77で標識したRI標識ライブラリーを作成してスクリーニングの実証実験に供する.具体的には腫瘍の浸潤転移に関わるαvβ3インテグリンを高発現している培養細胞株を用いてこれに特異的に結合する環状RGDペプチドを選別できるか検証する。また、培養乳がん細胞に効果を示すSA-Iについても標的分子の同定ができたので、スクリーニング方法評価における標準物質として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] A convenient and reproducible method for the synthesis of astatinated 4-[211At]astato-L-phenylalanine via electrophilic desilylation2019

    • 著者名/発表者名
      S. Watanabe, M. A.-U. Azim, I. Nishinaka, I. Sasaki, Y. Ohshima, K. Yamada and N. S. Ishioka
    • 雑誌名

      Org. Biomol. Chem.

      巻: 17 ページ: 165-171

    • DOI

      10.1039/C8OB02394H

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 放射性ペプチド薬剤の標識合成と診断・治療への展開:現状と課題2019

    • 著者名/発表者名
      山田圭一
    • 雑誌名

      Bio Industry

      巻: 36 ページ: 75-81

  • [雑誌論文] Mutant TP53 modulates metastasis of triple negative breast cancer through adenosine A2b receptor signaling2018

    • 著者名/発表者名
      E. Horigome, M. Fujieda, T. Handa, A. Katayama, M. Ito, A. Ichihara, D. Tanaka, N. Gombodorj, S. Yoshiyama, A. Yamane, K. Yamada, J. Horiguchi, K. Shinozuka, T. Oyama, M. Nishiyama and S. Rokudai
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 9 ページ: 34554-34566

    • DOI

      10.18632/oncotarget.26177

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ケイ素―ハロゲン交換反応を用いた放射性臭素標識化合物合成に関する基礎的検討2018

    • 著者名/発表者名
      渡辺茂樹,山田圭一,佐々木一郎,石岡典子
    • 学会等名
      第2回日本核医学会分科会放射薬品科学研究会/第18回放射性医薬品・画像診断薬研究会
  • [学会発表] ケイ素ーアスタチン交換反応を用いたアスタチン標識アミノ酸誘導体の合成2018

    • 著者名/発表者名
      渡辺茂樹,Mohammad Anwar-Ul Azim,西中一朗,佐々木一郎,大島康宏,山田圭一,石岡典子
    • 学会等名
      第62回放射化学討論会
  • [学会発表] 有機ケイ素前駆体を用いたアスタチン標識アミノ酸の合成2018

    • 著者名/発表者名
      渡辺茂樹,Mohammad Anwar-Ul Azim,西中一朗,佐々木一郎,大島康宏,山田圭一,石岡典子
    • 学会等名
      第58回日本核医学会学術総会

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公開日: 2021-01-27  

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