研究課題/領域番号 |
18K07626
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中島 崇仁 群馬大学, 医学部附属病院, 准教授 (70375559)
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研究分担者 |
米本 由木夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50400734)
岡邨 興一 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90527722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 光免疫療法 / 抗体 / 近赤外線 |
研究実績の概要 |
蛍光増感剤IRDye700Dxを標識したマウス抗IL-6R抗体(MR16-1)を用いた光免疫療法の手法を用いて、コラーゲン誘導関節炎モデルマウス(CIAモデルマウス)関節炎の進行を防ぐ方法を確立し、そのメカニズムを解明する。 光免疫療法の癌治療のプロトコールに則って行った、MR16-1-IR700投与後の関節への近赤外線の照射では、関節の炎症が強くなってしまい、光免疫療法による関節炎進行の抑制は認められなかった。MR16-1抗体に放射性同位元素を用いて体内分布を観察したところ、脾臓に強いMR16-1抗体の集積が認められたため、光免疫療法のターゲットを関節から脾臓に変更することとした。麻酔下に脾臓を体外に取り出してから近赤外線を照射する方法では、脾臓への障害が強く、条件を変えても関節炎の抑制効果は得られなかった。そこで、体外から脾臓に3日間連続照射する条件に変更したところ、関節炎の抑制効果が得られることが分かった。 今後は新しい光免疫療法プロトコールを用いて関節炎の進行を抑える。抗体量や近赤外線の照射量などを変化させることで、様々な治療効果の条件をコントロール群と比較して、最大の治療効果が得られる条件を探索する。関節炎の評価については、色・関節の厚さなどの計測の他に、ポジトロン核種を用いたFDG-PETでの関節炎の定量的評価を行う。また、腹腔内から採取したマクロファージおよびマクロファージ細胞株に対して、1)抗体の親和性・特異性を確認・2)光免疫療法による細胞死などの細胞実験を行う。そして、脾臓内での組織学的変化を見ることで、関節リウマチの抑制効果の機序を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
癌の治療方法として開発された光免疫療法のプロトコールを応用して、活性化マクロファージを対象とした新しい治療方法を開発している。計画当初は関節に近赤外線を照射する方法を計画しており、実際の照射では関節炎の抑制効果は認められなかった。放射性同位元素を用いた抗体の体内分布を定量評価したことにより、脾臓への近赤外線照射を試みる方向転換を行った。また、照射プロトコールの変更にも成功したため、研究初年度からin vivoでの関節抑制を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
関節への近赤外線照射から、脾臓への近赤外線照射に照射対象を変更した。また、体外からの近赤外線照射で関節リウマチの抑制効果が得られたため、引き続きこのプロトコールで研究を続ける。in vitroでの治療効果の解明や、脾臓内での光免疫療法プロトコールによる治療による変化について免疫組織学的検索を行い明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも早く多くの実験を行う事ができたため、大阪大学岸本教授より提供いただいているマウス抗IL-6抗体(MR16-1)が年度途中で足りなくなり、抗体治療薬の製造ができなくなってしまった。そのため、年度後半はストックしていた残りの抗体薬剤を節約して少しずつ使用していたため、研究のスピードが年度末に遅くなったため。本年度は昨年度の4倍量の抗体を提供いただけるため、該当年度に行えなかった実験も含め、研究費用が必要となる。
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