本研究は肝悪性腫瘍を対象に申請者が開発した3D sim-Navigatorにおいて焼灼シミュレーション機能E-fieldを開発し、これを活用した局所療法手技を開発することである。さらにVPNを活用し他院とのカンファレンスを行い、遠隔での治療実現に向けた基盤を作ることが目標であった。まずシミュレーション機能については焼灼範囲予測をほぼ正確に行えることを治療後CTでの画像解析を行うことで確認し得た。E-fieldにおける焼灼範囲とCTの低吸収域の相関は0.9を超えた。当初はCTとエコー画像でのfusion imagingの中でこの手技を行なっていたが、エコー画像同士のfusion imaging、いわゆるUS-US fusion imagingにても手技を確立しえた。焼灼範囲について肝臓の硬度などが焼灼範囲に影響するのではないかと予想した。超音波で腫瘍部と非腫瘍部をshear wave elastographyによって肝硬度測定を行い解析した。この結果硬度値は焼灼範囲に影響しないことが明らかとなった。同時にドップラーで血流も測定したが、血流も影響なかった。次にICTを活用した基盤整備について、コロナ禍の中ネットワーク整備が困難を極めたが30病院とのVPN接続によるICT活用が可能になった。これにより遠隔診療の基盤が整備できた。今後これを活用し多くの医師が参画できる治療システムを構築する予定である。
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