研究実績の概要 |
ドイツのCOVID-19感染者が多く、データ解析の元となるconductivity画像作成をお願いしていたUlrich Katsher博士の作業が予定通りには進まず、1年間の研究期間延長をお願いすることとなったが、結果的にはそれでも画像作成作業が十分進まなかったため、公開されているtexture analysis software(LIFEx)を使って何とか画像を作成し手術後の病理所見との対比を行った。念のためにT2WIも解析対象に加えることとした。 解析可能であった26症例に関して、まず、conductivity画像では、癌の分化度とCONVENTIONAL_std(r=0.474, P=0.017)・GLRLM_SRE(r=0.474, P=0.017)・GLRLM_LRE(r=-0.451, P=0.024)・GLRLM_LRHGE(r=-0.462, P=0.02)・GLRLM_RP(r=0.474, P=0.017)に弱い相関を認めた。他の病理因子に対しては有意な相関は認められなかった。これに対しT2WIでは、分化度とCONVENTIONAL_max(r=-0.485, p=0.016)に弱い相関を、T因子とGLZLM_LGZE(r=0.424, p=0.039)・GLZLM_SZLGE(r=0.416, p=0.043)に弱い相関を、転移リンパ節の個数とCONVENTIONAL_Skewness(r=-0.409, p=0.042)に弱い相関を、StageとCONVENTIONAL_Skewness(r=-0.437, p=0.029)に弱い相関を、v因子とGLRLM_SRE(r=0.477, p=0.016)・GLRLM_LRE(r=-0.433, p=0.031)・GLRLM_RP(r=0.466, p=0.019)に弱い相関を、PN因子とGLRLM_SRLGE(r=0.469, p=0.018)・GLRLM_LRLGE(r=0.439, p=0.028)・GLZLM_LGZE(r=0.484, p=0.014)・GLZLM_SZLGE(r=0.439, p=0.028)に弱い相関を認めた。当初の予想に反し、conductivity画像は分化度と弱い相関を示すのみであり、他の多くの因子との相関を認めたT2WIと比較すると臨床的な有用性には限界があると言わざるを得ない結果となった。
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