研究課題
臨床的に明らかな転移の無い前立腺癌患者は低リスク、中リスクあるいは高リスクの3つに分類する (National Comprehensive Cancer Network [NCCN] 分類)。われわれの施設では高リスク前立腺癌に対してこれまで①根治的前立腺全摘術および拡大リンパ節郭清術、②術前ADT、放射線外照射、および高線量率組織内放射線照射によるトリモダリティー治療 (トリモダリティー治療)、および③術前ADTおよび強度変調放射線治療 (intensity modulated radiation therapy) による併用療法 (nADT+IMRT) の3つの方法を適応してきた (現在は異なる)。本研究ではこれらの3つの治療について、後ろ向き研究 (成果 1) と前向き研究 (成果 2) を行った。後ろ向き研究では、これらの3つの治療における5年および7年全生存率に差は認められなかった。これらの3群においてPSAを低値、中値、高値に分けて解析したところ、PSAが50ng/mL以上であった患者の予後は②と③において不良であった。一方、①においては、PSAが20ng/mL以上で有意に不良であった。前向き研究においては、目標とする症例の組み入れが行えず、さらには、治療方法の大きな変化により、予定通りの解析が行えなかった。本研究では、現時点では、成果 1により超高リスク前立腺癌の治療を検討することが重要と考察された。