研究課題/領域番号 |
18K07646
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (70450195)
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研究分担者 |
芳賀 昭弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30448021)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | IVR / モンテカルロ / 線量計算 / VR |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,インターベンショナルラジオロジー(IVR)の分野における被ばくのリアルタイムでの線量管理である.IVRは,広く動脈などの手術に用いられているが,使用する線量が,放射線診断などに比べて圧倒的に高いにもかかわらず,放射線を知覚できないためか,患者のみならず,術者の被ばく線量も高い傾向にあるという問題がある.申請者のグループは,この問題を解決するために,GPUを用いた並列モンテカルロシミュレーションを線量計算に使用して,リアルタイムで線量表示が可能なシステムを世界に先駆けて開発した.このシステムは,フルモンテカルロコードと比べて線量が5%以内の精度で一致し,計算時間はわずか4秒の遅延で追うことができる(フルモンテカルロは数時間).このシステムをベースにして,1)臨床でのリアルタイム線量計算の使用,2)バーチャルリアリティによる空間線量の可視化,3)複合現実を利用した医療支援システムの開発を目指す. 1)については,術者,患者の位置情報や,管電圧や管電流など,時々刻々と変わる装置の情報をコンピュータの画面上から自動的に取得するシステムを開発し,116回医学物理学会で発表した.現在論文投稿準備中の段階である. 2)については,VR空間上で線量を可視化する方法の開発に取り組み,国内や海外の学会で発表を行った.現在投稿準備中の段階である. 3)についても順調に開発が続いており,2019年度の秋の医学物理学会で発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,基本的な要素技術の開発を行った. 1)IVR手技中に,装置から情報を取り込みながら,リアルタイム線量を計算するシステムのファントムを利用したビーム照射実験を行い,ガラス線量計と5%以内の精度で計算できることが分かった.これは既存のリアルタイム線量推定システムと比較して格段に良い精度である.この内容を第116回医学物理学会で発表した. 2)我々の開発したバーチャルリアリティ(VR)を利用した治療中の放射線被ばく線量の可視化技術は,第115会医学物理学会大会長賞を受賞した.またIVRの医師たちにも非常に高い評価を受け,国際シンポジウムでの発表にも採択され,国際的に著名な学会でも発表を行った. 3)複合現実を利用した被ばく線量の実世界の重ね合わせのために,我々はMicrosoft社のホロレンズをヘッドマウントディスプレイとして採用し,ファントム実験を行った.この内容については2019年度の秋の医学物理学会で発表予定である.
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今後の研究の推進方策 |
現在まで得られた結果について,論文にまとめて出版する予定である. 今後は,複合現実を使用して,実際の線量計算の内容を実際の画像に投影する技術の内容について,学会発表や論文発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は他の予算からの補助があったため,わずかに次年度使用額が生じた. 次年度は旅費の補助に充てる予定である.
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備考 |
第123回日本眼科学会優秀発表受賞
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