臨床施設の環境に調整することによる干渉マップの高精度化および臨床の治療計画との比較について準備をしていたが、感染状況により協力施設への立ち入り許可が下りなかったため、照射軌道に沿った積算線量分布から照射軌道を決定するアルゴリズムおよびソフトウェアの改良を中心に行った。照射経路探索手法の改良では、高解像度で撮像したファントムのCTデータから患者の体表や臓器の3次元モデルを作成し、また、治療計画データから放射線の照射モデルを作成した。次に、照射位置を、経度および緯度で表現し、全方向から照射データを取得して危険度を算出して2次元危険度マップを作成した。DICOMデータから各臓器の体積を近似した後に実体積と比較することにより、危険度マップの精度を上げた。危険度マップでは危険な照射位置や安全な照射位置が一目でわかるように色分けし、手動あるいは自動で作成した照射経路の確認できるようにした。従来から開発している、A*アルゴリズムを用いて、危険度マップから照射経路を探索可能にした。シミュレータから生成された照射経路を基に放射線治療計画を作成するにあたり、放射線治療計画システムにて連続照射の照射経路を作成する必要があり、固定照射のビームを複数個使用し、足し合わせることで、連続照射の照射経路を擬似的に生成した。生成した治療計画について、幾つかの条件下で検証したところ、危険度マップ上で、危険度が高い領域への照射を最小限に抑制し、危険度が低い領域へは集中照射されていることが確認できた。
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