研究課題/領域番号 |
18K07652
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
五反田 龍宏 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60711447)
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研究分担者 |
五反田 留見 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (70542281)
天野 貴司 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 准教授 (90249558)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マンモグラフィ / 線量評価 / マンモグラフィファントム / 線量計測用フィルム |
研究実績の概要 |
女性の乳房は放射線感受性が高いため,マンモグラフィによる被ばくの線量評価は安全性の観点から重要である.しかしながら,現時点での標準的な方法は平均乳腺線量を算出するのみで,乳房全体の線量分布を実測する方法は確立されていない.本研究は,マンモグラフィの被ばく線量評価を行うためのマンモグラフィファントムを開発することと,それに適した線量計測用フィルムを利用して三次元での被ばく線量分布を評価することによって,被検者の乳房への被ばく線量を詳細に把握することを目的とする. 本年度は,計測精度向上のための基礎研究となるGAFCHROMIC XR-QA2とGAFCHROMIC EBT3において,マンモグラフィで使用される実効エネルギー領域での線量計測用フィルムのエネルギー依存性を評価した.評価した実効エネルギーの照射条件として,ターゲットフィルタをMo/Mo,W/Rhとし,設定管電圧は24 kVから30 kVまでとした.結果として,GAFCHROMIC XR-QA2と比較して,GAFCHROMIC EBT3の方がエネルギー依存性に優れていた.次に,マンモグラフィで使用する低線量領域(3.0 mGy以下)における線量計測用フィルムの感度を評価した.感度においては,GAFCHROMIC XR-QA2が優れており,GAFCHROMIC EBT3では計測精度が著しく低下した. 続いて,マンモグラフィから乳腺含有率を測定するための方法を確立した.また,それを簡易的に実施するための乳腺含有率測定ファントムを作成し,評価・検討をおこなった.乳腺含有率を測定することで,ブロック状ファントムを作成することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度で完了する予定であったが,本研究で開発したブロック状ファントムにおいて,線量評価を行うために使用される線量計測用フィルムGAFCHROMIC XR-QA2の入手ができなかったため,研究を次年度まで延長することとなった. 令和2年度までに実施した内容は,基礎研究となるGAFCHROMIC XR-QA2とGAFCHROMIC EBT3におけるマンモグラフィで使用される実効エネルギー領域での線量計測用フィルムのエネルギー依存性と,低線量領域における線量・濃度校正曲線から線量計測用フィルムの感度である. 次に,マンモグラフィからブロック状ファントムを構築する方法を確立した.また,それを簡易的に実施するための乳腺含有率測定ファントムを作成し,評価・検討をおこなった. 上記内容の一部は,多次元線量計測学会において発表した.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,GAFCHROMIC XR-QA2を入手し,ブロック状ファントムの間にGAFCHROMIC XR-QA2を配置して線量評価をおこなう予定である.マンモグラフィでの線量評価の方法を確立するために,得られた線量をブロック内で積分し,乳腺への吸収線量を算出方法を検討する予定である.また,既存の方法である平均乳腺線量との比較検討をおこない,マンモグラフィにおける乳房の三次元線量分布の解明をおこなう.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初予定していたGAFCHROMIC XR-QA2が卸業者から購入不可能となり,線量評価が実施できなかった.また,新型コロナウイルス感染症のため,他県への出張が困難であり,共同での研究・実験が満足に実施できず,研究そのものが大幅に遅れたと考えられる. (使用計画) GAFCHROMIC XR-QA2を購入予定であり,作成したマンモグラフィファントムを使用して線量評価を実施する予定である.しかしながら,GAFCHROMIC XR-QA2が入手できない場合には,入手できる線量計測用フィルムを購入し,代用することを考えている.また,学会への参加費,論文投稿のための英文校正,論文投稿費などに使用する予定である.
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