研究課題/領域番号 |
18K07653
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
長町 茂樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40180517)
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研究分担者 |
白石 武史 福岡大学, 医学部, 准教授 (10216179)
野々熊 真也 福岡大学, 医学部, 助教 (20773229)
平塚 昌文 佐賀大学, 医学部, 講師 (90369017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺移植 / MIBG / FDG-PET / 右心室不全 / SUVmax / 肺解剖容積 / 肺機能容積 |
研究実績の概要 |
移植前後で肺移植患者を対象にFDG-PETCTとMIBG心筋シンチを行うプロトコールで研究を継続している。 FDG-PET/CTでは左室壁と右室壁のSUVmax値及び右室壁と左室壁のSUVmax値比(R/L)を移植前後で評価した。また検診受診例を正常コントロールとした。FDG-PET/CTから求めた、右室心筋SUVmax値、R/L 値は、正常コントロ-ルの1.96 、0.52と比べ肺移植前では 2.84、0.57と有意に高値であった。肺移植後では指標値は正常コントロ-ルとは有意差無く2.04、0.51であり肺移植前と比べて有意に低下した。 また心筋MIBGを用いた心不全の研究では心縦隔比(H/M)及び洗い出し率(WR%)を測定したが、移植後早期、移植後1年以上経過した症例ともにH/Mは早期像(15分後)、後期像(3時間後)で2.0以上でありWR%は25%未満と正常範囲であった。 また片側肺移植前後で肺機能容積と解剖学的容積の変化を比較した。肺シンチPlanar後面像にて片側移植例では移植側/移植対側カウント比(T/N血流及びT/N換気)を求めた。また移植側/移植対側解剖容積比(T/N-CT)はCT画像とZIO STATIONを用いて算出した。 片側移植前で平均T/N(血流、換気、CT)は各々 0.85、0.79、0.92、移植1年後では平均T/Nは2.5、2.8、0.97、移植2年後では平均T/Nは3.3、3.5、0.95であった。片側肺移植後では解剖学的容積は移植側と移植対側間で有意な差は無かったが、機能容積は移植対側で著明に低下しており経時的に減少した。片側肺移植後では移植対側の解剖学的容積は移植側と著変は無いが機能容積は移植側と比べ低下し、経時的に減少することが明らかになった。この所見はFDG-PETから推定される右室機能に影響する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象症例の検査が、患者の状態不良で予定通りに施行できなかったことが要因の一つである。また移植前においては、肺移植適応症例か否かを決める段階で検査施行例の多くが省かれる可能性があり、解析群から脱落する症例がある。また移植後においては、患者の全身状態が不安定であり検査日程を調整するのが難しい。これらが原因で、研究に遅れが生じています。またCOVID-19の影響で患者の入院病棟が閉鎖されていることも、研究の遅れの一因である。今年度は、撮像機器の更新で2ヶ月ほど検査予定が組めなかったことも挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
計画に則って研究は続行するが、今後、COVID-19の終息次第、これまで同様にFDG-PET/CTとMIBG心筋シンチの予定を組む。また、可能な症例ではTc-99m-MAA肺血流シンチや81m-Kr肺換気シンチとの比較を行う。移植コーディネーターにも方針を確認する。 摘出された元々の肺組織の病理像を再度チェックし、予後との関連も解析する。デ-タがまとまり次第解析を開始するが、暫定的に日本核医学総会、北米放射線学会に成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
適応とされた対象症例の予定と検査のタイミングがあわず、検査用薬剤費用を用いた検査が施行できず、次年度に回す予定とした。また撮像機器の更新、変更のため2ヶ月、心筋MIBGシンチ検査が施行できなかった。今後は、症例の適応範囲を拡大する。さらに1名あたりの検査回数を増やすことを計画している。
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