研究課題/領域番号 |
18K07653
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
長町 茂樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40180517)
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研究分担者 |
白石 武史 福岡大学, 医学部, 教授 (10216179)
野々熊 真也 福岡大学, 医学部, 助教 (20773229) [辞退]
平塚 昌文 佐賀大学, 医学部, 講師 (90369017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肺移植 / FDG-PET / 右心機能 / 心臓交感神経障害 / 肺線維症 / 慢性呼吸不全 |
研究実績の概要 |
慢性呼吸不全患者33例に対しプロスペクティブに肺移植前後に、FDG-PETで経過観察を行った。定性的には移植前に右室心筋のFDG集積を左室心筋と同等以上に認める症例の頻度と移植後の集積強度の変化を評価した。また定量的には心筋FDG-PET画像上に右室と左室心筋にVolume of Interest(VOI)を設定しSUVmaxを求め右室と左室の比(R/L)を評価した。その結果4例(12.1%)で移植前に認めた右室集積が移植後に消失・改善した。R/Lは統計的に有意に移植後に低下した。慢性呼吸不全患者におけるFDGの右室心筋集積は、肺線維化病変に基づく右室機能不全を示していると考えられた。本現象は肺移植後に右室収縮期圧(RVSP)や右室右房間圧較差(TPRG)等の右室機能指標の改善と相関した。FDGの右室心筋集積は可逆性の現象であり肺移植治療に反応することが確認されたことから、FDG心筋PETは右室機能のモニタリングに有用と考えられた。なお心筋MIBGシンチは2名に施行したが、いずれも移植3ヶ月以後の症例で異常所見を認めなかった。推測の域を超えないが、左室心臓交感神経機能異常は肺移植後の3ヶ月以後では観察出来ない可能性が高い現象と思われた。 さらに追加検討として、片側肺移植において、基礎疾患が肺線維症の場合と肺気腫の場合では、非移植残存肺の機能及び形態変化に乖離を認めた。非移植残存肺が肺気腫の場合は持続的に容積が増大、過膨張になることで移植肺を圧排した。機能的には換気比、血流比ともに同等で移植肺が代償するが、経年的には死腔が増えることに留意する必要があると思われた。非移植残存肺が間質性肺炎の場合、持続的に容積は減少し、移植肺が過膨張を示した。血流比が換気比よりも高くシャントユニットが増えている可能性がある点に注意が必要であることが明らかになった。
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