研究課題/領域番号 |
18K07655
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
高橋 規之 福島県立医科大学, 新医療系学部設置準備室, 教授 (90595076)
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研究分担者 |
木下 俊文 秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 副病院長 (70314599)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特発性正常圧水頭症 / DESH / CT |
研究実績の概要 |
特発性正常圧水頭症のCT画像所見の1つである,くも膜下腔の不均衡な拡大を伴う水頭症(dispropotionately enlarged subarachnoid subspace hydrocephalus ; DESH)の自動検出法のアルゴリズム開発を行った.DESHは,頭頂部くも膜下腔の狭小化と,シルビウス裂の拡大が同時に起こため,開発した手法では,これら2つの領域の各脳脊髄液容積を推定し,DEASHの指標であるこれらの比率から自動検出を行った. 初めに,脳形態の標準化を行い我々が開発した自動CT画像断面再構成法(米国特許取得)を用いて,特発性正常圧水頭症ガイドラインに定められた冠状断面を表示した.次に,頭頂部くも膜下腔とシルビウス裂の各脳脊髄液領域を,最大事後確率推定法を用いたリージョングローイング法により抽出した.最後に,抽出した2領域の容積を求めその比率からDESH判定を行った. 臨床データ24例を用いた初期評価実験の結果,本手法は高精度で頭頂部くも膜下腔とシルビウス裂の脳脊髄液領域を抽出することができた.さらにDESH指標に関して,開発した手法と,神経放射線専門医師が手作業で各領域の輪郭を決定して求めた結果とを比較したところ,両者の相関は0.999であった.このことから本手法は,DESHを正確に自動検出することができることが示唆された. 特発性正常圧水頭症の発見は高齢者にとって重要課題であり,一般の診療所レベルでの発見率の向上に寄与できるように今後も本研究を継続していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書のとおり,本年度にDESHの自動検出法のアルゴリズムの開発をして,初期性能評価実験を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発したDESH自動検出法を性能をさらに向上させるため,適用症例数を増やしてアルゴリズムの最適化を行っていく.さらに,現在まで開発を行ってきた,他の画像所見の自動検出法を組み合わせて,複合的な特発性正常圧水頭症の自動検出法を構築していく計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当該年度に,英語論文投稿を計画していたが,研究の進捗状況により次年度に延期することになった. (使用計画) 翌年度に,英語論文の投稿を行うため,英語論文校閲と投稿料に使用する予定である.
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