研究課題
初年度は、正常マウスにおける 4DST の脳内動態とプロベネシドの効果について検討を行った。イソフルラン麻酔下マウス尾静脈にカニューレを留置し、小動物専用 PET (MIP-100, Sumitomo Heavy Industries) のベッドに静置し、頭部を視野中心に移動させ、4DST 注射剤 37MBq をボーラスで静注すると同時に 60 分間のダイナミック PET 撮像を実施した。撮像後断頭により犠牲死させ、速やかに脳を摘出し、厚さ 1 mm の冠状断スライスを作成し、オートラジオグラムを得た。薬剤負荷は PET 計測の 5~10 分前に 4DST の投与ルートから 10, 30, 100 mg/kg のプロベネシド溶液を静注した。オートラジオグラムの結果から、4DST は神経新生の盛んな脳室下帯に集積を示すことが明らかとなった。プロベネシドの投与によって 4DST の脳室下帯への集積は影響を受けなかたことから、4DST による神経新生の評価にはこれまで報告され FLT とは異なり、プロベネシドによる薬剤負荷は不要であることが明らかとなった。PET 計測データにおいて、C-11 の半減期の短さと 4DST の絶対集積量の少なさから神経新生部位の画像化は困難であった。今後、統計画像処理などさらなる画像解析法の検討が必要と考えられた。また、4DST の脳移行性を高めるため 4DST の 2 つの水酸基をアセチル基でエステル化したプロドラッグを合成した。同様に 4DST の標識前駆体であるトリブチルスズ体の 2 つの水酸基をアセチル化することによって標識前駆体を得るため、合成検討を実施した。
2: おおむね順調に進展している
初年度は、研究計画の通りに研究を遂行可能であった。
4DST により脳内の神経新生を画像化できる可能性が示唆されたものの、PET 撮像に必要な十分な感度は得られなかった。このため、脳内への 4DST の集積量を増やすプロドラッグ化の検討を計画通り進めると共に、統計画像解析法などの画像解析法についても検討を進める。
4DST 合成のための標識前駆体について、すでに購入済みの古いロットの標識前駆体を優先的に使用したため、今年度に費用が発生しなかった。次年度では新しいロットの標識前駆体を購入する予定である。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 16件、 招待講演 2件)
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