研究課題
初年度の正常マウスにおけるオートラジオグラフィーの結果から、4DSTは神経新生の盛んな脳室下帯に集積を示すことが明らかとなった。また、4DSTによる神経新生の評価に対して、プロベネシドによる薬剤負荷は影響を与えないことも明らかとなった。一方、小動物PET計測による神経新生部位の画像化は困難であった。当センターで使用している小動物専用PET(MIP-100、Sumitomo Heavy Industry)の感度は低いため、神経新生部位では、分容積効果により放射能計測が困難であると考えられた。そこで、マウスより脳の構造が大きいラットでの検討を実施することとした。イソフルラン麻酔下ラット尾静脈にカニューレを留置し、小動物専用PETのベッドにラットを静置し、頭部を視野中心に移動させ、4DST注射剤74MBqをボーラスで静注し、同時に60分間のダイナミックPET撮像を実施した。PET撮像前に正確な脳の解剖位置情報を得るため、小動物専用MRI(Icon 1T, Bruker)にて頭部のT1およびT2強調画像を撮像した。PET撮像後にラットを断頭により犠牲死させ、速やかに脳を摘出し、クリオスタットにて厚さ20マイクロメートルの凍結切片を作成し、オートラジオグラムを得た。その結果、PET撮像において脳室下帯および海馬と思われる領域への放射能集積を認めることが可能であった。また、摘出脳のオートラジオグラフィーからも脳室下帯に加えて海馬領域への放射能集積を認めた。また、4DSTの脳移行性を高めるためのに4DSTの水酸基をアセチル基でエステル化したプロドラッグの標識合成に必要なトリブチルスズ体への保護基の導入を検討した。
3: やや遅れている
プロドラッグの標識合成に必要な標識前駆体の合成に時間を要している。
プロドラッグ化した4DSTの標識前駆体を得、標識合成検討を行う。PET脳画像の統計画像解析について検討を行う。
研究の進捗に遅れが生じたため、予算と実績に差異が生じた。研究の遅れの主たる原因である、プロドラッグの標識前駆体の合成に目処がついたため、次年度では当初の計画通り研究が進む予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
Journal of Alzheimer's Disease
巻: 73 ページ: 197~207
10.3233/JAD-190843
Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals
巻: 63 ページ: 85~95
10.1002/jlcr.3823
iScience
巻: 23 ページ: 100874~100874
10.1016/j.isci.2020.100874
Clinical Nuclear Medicine
巻: 45 ページ: e98~e100
10.1097/RLU.0000000000002751
Annals of Nuclear Medicine
巻: 33 ページ: 375~382
10.1007/s12149-019-01344-x
巻: 44 ページ: 507~509
10.1097/RLU.0000000000002564
Medical Physics
巻: 46 ページ: 2457~2467
10.1002/mp.13492
巻: 33 ページ: 848~854
10.1007/s12149-019-01397-y
巻: 33 ページ: 855~865
10.1007/s12149-019-01398-x
Carbohydrate Research
巻: 486 ページ: 107827~107827
10.1016/j.carres.2019.107827
巻: 33 ページ: 822~827
10.1007/s12149-019-01393-2