研究課題/領域番号 |
18K07660
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 孝之 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (60400678)
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研究分担者 |
米澤 徹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90284538)
柴山 環樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10241564)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金ナノ粒子 / 放射線増感効果 |
研究実績の概要 |
難治性がんの放射線治療成績向上を目的とする、体内の金属に対する放射線の影響に関する研究を行った。金粒子に関するナノテクノロジーで個々の細胞の遺伝子情報等の差異による放射線感受性の差を凌駕して、放射線治療の増感作用として活用する研究において、研究分担者である北海道大学工学研究院の柴山らと進める予定であった、細胞微細構造の電子顕微鏡による観察は、2018年9月の胆振東部地震の影響により、超高圧電子顕微鏡の除振台が損傷していたが、2019年度内に復旧済みである。またもう一名の研究分担者である北海道大学工学研究院の米澤らとは、体内投与可能な金ナノ粒子の化学的製造に関して、必要な物品の購入を行い、研究に着手済である。新型コロナウイルス感染の拡大を受け、全国もしくは一部地域に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ており、照射実験実施の日程調整に難航した状況が継続していて確定のめどが立っていないが、状況が改善しだいなるべく早期に実験を行うべく、研究実施期間について1年間の延長申請を行い承認された。放射線関連の国内外の学会・研究会は新型コロナウイルス感染防止の観点から現地参加は困難であるが、オンラインで参加し、最新の金ナノ粒子の放射線増感効果に関する研究発表について引き続き情報収集を行っている。また将来的に金ナノ粒子の放射線増感効果の臨床応用の期待が大きい、小児の髄芽腫や胚細胞腫瘍等の中枢神経腫瘍に対する全脳照射において、X線と陽子線との治療計画シミュレーション比較検討した内容についPTCOG2020(オンライン開催)で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
電子顕微鏡を用いた、金ナノ粒子による量子力学的な視点からの光電効果の観察については、2018年9月の胆振東部地震の影響により超高圧電子顕微鏡が損傷したため、研究の実施に遅れが生じていたが、2019年度内に復旧済みであるが、新型コロナウイルス感染の拡大防止の観点から、早期の照射実験実施のめどはたっていないものの、状況改善後早期に日程調整に入る予定である。体内投与可能な金ナノ粒子製剤の化学的製造に関しては、必要な物品の購入を行い、研究に既に着手済で、今後の金ナノ粒子の生成と蛍光X線CTによる体内の金粒子分布の可視化につなげていく。金ナノ粒子による放射線増感効果についてのシミュレーションを継続し、治療計画装置上にX線・陽子線の線量分布図に反映していくことを引き続き目指している。放射線関連の国内外の学会・研究会に参加し、最新の金ナノ粒子の放射線増感効果に関する研究発表について引き続き情報収集を行っているが、2020年に出席を予定していた国内外の学会は延期もしくはオンラインでの開催となり、現地参加による他の研究者との情報交換を断念せざるを得なかった。将来的に金ナノ粒子の放射線増感効果の臨床応用の期待が大きい、小児の髄芽腫や胚細胞腫瘍等の中枢神経腫瘍に対する全脳照射において、X線と陽子線との治療計画シミュレーション比較検討した内容についPTCOG2020(オンライン開催)で発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き難治性がんの組織内に金ナノ粒子を投与する際の生体内の放射線増強反応機序を量子レベルで解明し、金ナノ粒子の配置やサイズを人為的に最適化するための新たな方法を、シミュレーションと化学的実験の両者にて研究していく。地震で損傷した超高圧電子顕微鏡の除振台は復旧済で、引き続きなるべく早期に電子顕微鏡による観察実験を実施していく予定であるが、新型コロナウイルス感染の拡大が断続的にみられており、全国もしくは一部の地域でに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ているため、照射実験実施の日程については感染状況をみながら引き続き調整をおこなっていく。金ナノ粒子の化学的製造に関しては、安全に体内投与可能で、放射線増感効果に優れた金ナノ粒子製剤の開発に向けた研究を引き続き進め、今後の金ナノ粒子の生成と蛍光X線CTによる体内の金粒子分布の可視化につなげていく。最新の金ナノ粒子の放射線増感効果に関する研究発表については、新型コロナウイルス感染の拡大が続いており、今後も学会・研究会の開催中止や延期が予想され、また所属機関からも出張の自粛要請が出ている状況であるが、放射線関連の国内外の学会・研究会に可能な限り参加し、情報収集に引き続き努めていく。上記の成果を踏まえ、金ナノ粒子による放射線増感効果のシミュレーション結果を加味して治療計画装置上にX線・陽子線の線量分布図に反映していくことを引き続き目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年9月の胆振東部地震で超高圧電子顕微鏡の除振台が損傷し、復旧に時間を要したたことと、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定していた細胞の電子顕微鏡による観察が実施できておらず、人件費や電子顕微鏡使用料については未使用となっている。感染状況が改善し次第早期に細胞の電子顕微鏡による観察実験を実施し、それに伴う人件費や電子顕微鏡使用料についても支出予定である。最新の金ナノ粒子の放射線増感効果に関する研究発表について引き続き情報収集を行っているが、2020年度に出席を予定していた国内外の学会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期やオンライン開催となり、また所属機関から出張の自粛も求められているため現地参加ができなかった。今後も感染状況が早期に収束するめどが立っておらず厳しい状況が続くと予想されるが、引き続き放射線関連の国内外の学会・研究会に可能な限り参加し、情報収集や成果発表に努めていく。
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