研究課題/領域番号 |
18K07661
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤間 憲幸 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80431360)
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研究分担者 |
本間 明宏 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30312359)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 画像診断 / 人工知能 / MRI / 頭頚部癌 |
研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌において化学放射線治療に対する感受性を左右する腫瘍の生物学的性状の代表的な項目として腫瘍の細胞増殖能、腫瘍の低酸素領域の含有とその分布、および腫瘍血管の血管透過性(抗がん剤などにおける血管から腫瘍組織内への移行割合)をそれぞれを非侵襲的および間接的に画像化させるための画像取得における撮像項目の調整および画像解析法の開発を行った。腫瘍の細胞増殖能はMRIによる拡散強調像に非ガウス分布モデルを適合させた撮像を用いた。後処理解析に機械学習法を使い、比較的高い精度で画像化出来た。低酸素領域の画像化はArterial spin labeling法によって算出された腫瘍血流の値と、FDG-PETなどの多種の画像情報によって得られた腫瘍の活動性指標をかけあわせることによって高い精度の検出および画像化が可能であった。血管透過性に関しては、diffusion-weighted arterial spin labeling法による直接的な画像化を試みており、現在撮像内容を調整中である。 特に腫瘍の細胞増殖能および腫瘍の低酸素領域の画像情報に関しては、実際の頭頸部癌を有する患者にてデータを取得中であり、十分なデータ数が得られた後に人工知能アルゴリズムを用いて、診断モデルを作成する予定である。現在は過去に撮像された頭頚部癌のMRIおよびFDG-PETのデータ等を用いて試験的に人工知能アルゴリズムの最適化を行っている。ここで得られた最適化情報を元として最終的な診断モデルの作成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、初年度にて頭頚部癌の生物学的性状を反映した画像を開発し、さらに中間年度から最終年度にかけて、実際に頭頚部癌患者に対してその臨床応用を開始することであった。また、人工知能モデルの最適化に着手し、最終年度までに診断モデルの最終型を開発することを予想している。現時点で頭頚部癌の生物学的性状を反映した画像を患者に対して臨床応用を開始しており、人工知能モデルによる診断法の最適化の初期的検討にも着手している。現時点で予想通りの進行度合いと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
頭頚部癌の患者に対して開発した画像の臨床使用を進めていく。また、過去の頭頚部癌の画像データを用いて人工知能モデルの基礎的設定の具体化を進めていく。最終的に頭頚部癌患者から得られた生物学的性状を反映した画像情報に人工知能モデルをあてはめて、最終的な診断モデルを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人工知能モデル作成のためのソフトウェアの更新、成果報告のための論文執筆における英文校正、成果報告のための学会発表における旅費等で使用する予定である。
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