これまでの研究で、食道癌のIVIM-MRI撮影プロトコールは確立され、今年度も継続的に症例を蓄積してきた。食道癌のDWI解析、およびIVIM解析に関して、当初の計画通り、一定数の症例が蓄積されたため、予後などと比較し研究成果を学会や論文という形で発表することが出来た。昨年度は食道癌におけるDWIの有用性に関する論文を2本発表したが、今年度は本研究の中心であるIVIM-MRIに関して、本法により測定された腫瘍のperfusionが食道癌の独立した予後規定因子であることを証明し、国内学会で発表ののち、現在雑誌Esophagusに投稿中である。本論文は既にreviseの結果を受け、修正後再投稿を行なっており、現在結果を待っているところである。また昨年度のDWIのtexture解析についての論文の結果やIVIM-MRIの結果を実臨床に応用し、進行食道癌の個別化治療を実現するために、腫瘍の自動抽出法の開発に着手した。この自動抽出法については、ADC mapにて一定の閾値を設定し、大津の二値化の手法などを利用し、半自動的に腫瘍が抽出する方法を開発しつつあるが、まだ実用化の域には達しておらず、今後さらなる研究が必要と考えている。今年度は新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため海外渡航は不可能であったことから、補助金は主に画像解析用ソフトウェアのアップデート、改良、またweb会議に使用する大型モニター、デスクトップパソコンなどの物品購入に当てられた。
|