研究課題/領域番号 |
18K07667
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今江 禄一 東京大学, 医学部附属病院, 主任診療放射線技師 (80420222)
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研究分担者 |
芳賀 昭弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30448021)
山下 英臣 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70447407)
高橋 渉 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50755668)
鈴木 雄一 東京大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (70420221)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 個別化 / 放射線治療 / 投与線量分布 / 特徴量 / 形態変化 |
研究実績の概要 |
近年の情報処理技術の発展および臨床情報の蓄積に伴って,患者個々の特性に対応した放射線治療(以下,個別化放射線治療)への発展が予想される.有効かつ安全な個別化放射線治療の実現には,実際に患者に投与された線量分布(以下,投与線量分布)を正確に評価することが望ましい.本研究では,個別化放射線治療の実現およびその安全な運用に向けて,包括的に投与線量分布を評価した上で,計画と投与線量分布の誤差要因についてその特徴量を明らかにすることを目的とする. 当該年度は以下のことを実施した. (1) 昨年度から引き続き,前立腺を対象として治療中の線量分布を作成した.20症例について論文にまとめ,英文誌に投稿した.また,肺を対象として,計画用CT画像および照射制御パラメータから投与線量分布を作成した. (2) 非小細胞肺癌に対する救済定位放射線治療の至適線量について明確なエビデンスがないのが現状であった.この課題に対して,治療計画や投与線量分布,治療効果,副作用などのデータの蓄積と解析を行った. (3) 深層学習を用いて治療前のCBCT画像の画質改善を行い,国際誌に掲載された.深層学習の手法として敵対的生成ネットワーク(generative adversarial networks:GAN)を採用した. (4) 頭頸部に対する放射線治療では多くの場合6~8週間を要し,しばしば治療期間内の患者の形態変化が観察される.治療期間の初期の画像変化を捉えて,以降の形態変化を予期する手法を開発し,国内/国際学会にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き,前立腺癌患者に対して実施した放射線治療の投与線量分布の作成を行った.投与線量分布の特徴量解析に必要な学習モデルについては検討中である.また,治療中のCBCT画像の画質改善について,新たに取り組んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
1. 前立腺を対象とし,放射線治療用吸収性組織スペーサーを使用した場合の投与線量分布の作成を行う. 2. 画質改善を行ったCBCT画像の臓器の位置や形状変化の評価,線量計算への使用について検討を行う. 3. 学習モデルの構築と投与線量分布の誤差要因の明確化を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
計上していた解析用ワークステーションについて既存のものを利用したため,次年度使用額が生じた.次年度以降では解析用ワークステーションの購入,国内学会の参加を検討している.また,国際論文の投稿を目標として,英語論文の作成で必要な校閲費用を英語校閲費として計上しており,有効に活用する予定である.
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