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2020 年度 実施状況報告書

がんの低酸素耐性・幹細胞性獲得と低酸素イメージング剤集積に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K07672
研究機関名古屋大学

研究代表者

古川 高子  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (00221557)

研究分担者 清野 泰  福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード腫瘍イメージング / がん幹細胞性 / Cu-ATSM / NADH / CtBP
研究実績の概要

本研究課題では、低酸素腫瘍の診断や治療に用いられる放射性銅標識64Cu-ATSMの集積とがんの難治性を結ぶメカニズムに、NADH/NAD+比を介し、CtBP2の発現変化が関与するエピジェネティックな変化が関わっているかを明らかにしようとしている。
前年度までの検討で、ヒト乳がん細胞MCF-7においては、酸素濃度5% のマイルドな低酸素条件での長期培養が、CtBP2やCD133の発現上昇を引き起こすとともに、64Cu-ATSMの細胞取り込みの増加につながることが示された。また、低酸素イメージング剤として用いられながら、腫瘍内分布や細胞取り込みに対する培養時の至適酸素濃度が64Cu-ATSMとは異なる18F-FAZAの細胞への取り込みも増加させたが、培養培地の組成を変化させて細胞質のNADH/NAD+比を操作しても18F-FAZAの細胞への取り込みは変化せず、この変化にはNADH/NAD+比の変化によって引き起こされるエピゲネティックな変化は関与していないのではないかと考えられた。
2020年度は、これまでの結果を受け、MCF-7細胞を免疫不全マウスに移植して腫瘍モデルを作製し、in vivoにおいて64Cu-ATSMの取り込み上昇とCtBP2の発現に関係が示されるかの検討に着手した。腫瘍モデルの作製条件を検討し、実験に使用できるモデルの作製に成功し、腫瘍内の64CuとCtBP2の分布を比較した。Western blottingでは64Cu の集積が高かった部位のCtBP2の発現が64Cu の集積の低い部位に比べて高いとの結果が得られ、in vivoにおいても両者に関係がある可能性が示された。現在、両者の関係をより明確にするため、免疫染色による腫瘍内のCtBP2の発現分布の検出を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響を受け、64Cuを使用する実験が可能な福井大学を訪れることが大幅に制限され、時間を要する動物モデルの作製が予定通り進められない、動物モデルを作製しても64Cu製造日に実験できない、などの状況に陥った。また、前期においては学内での実験も困難であったため、進捗はかなり遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は遅れているマウスの腫瘍モデルを用いた実験を積極的に進め、Cu-ATSM取り込み上昇とCtBPの発現、CtBP による発現調整を受ける癌関連遺伝子やCD133をはじめとするがん幹細胞マーカーの発現の関連が、in vivoで観察されるかを明らかにしていきたい。
また、成果の学会発表や論文執筆も進めていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、共同研究先へ赴いて実験を行うことが困難となり、予定通りに実験を進めることができなかった。今後不足している実験を行ってデータを補完し、学会発表、論文発表を行う。

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公開日: 2021-12-27  

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