研究課題/領域番号 |
18K07673
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片岡 正子 京都大学, 医学研究科, 助教 (10611577)
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研究分担者 |
飯間 麻美 京都大学, 白眉センター, 特定病院助教 (60748797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MRI / 高速撮像法 / 乳癌 / 血管新生 / 血流 / 圧縮センシング / 灌流 / 拡散強調画像 |
研究実績の概要 |
本研究は、圧縮センシングなど高速撮像をサポートする技術を用い1)乳房の超高速造影ダイナミックMRIの画質改善、撮像・解析法の確立、および2)乳腺腫瘍血流・血管評価にもとづく診断や治療効果判定・予測法の確立を目指す。必要な画質改善・画像再構成や解析ソフトの開発も併せて行う。 昨年度は、再構成条件の最適化を検討し論文にまとめた。また高速撮像の半定量解析として、Maximum Slope、およびTime to enhanceというパラメータを解析し、数十例の乳癌及び乳腺良性腫瘍を対象に解析、国際磁気共鳴医学会などの国際学会で発表、現在論文を投稿、改訂作業中である。ソフトウェアについては装置メーカーおよび解析Viewerソフト会社の解析ソフト開発に協力した。それらと並行して、圧縮センシングに先行して行ったView sharingを用いた高速撮像での100例余りのデータをMaximum slopeなどを用いて解析し、その結果も北米放射線学会をはじめとする国際学会で発表、現在論文を投稿中である。 新たな展開として、超高速撮影+拡散強調画像から得られる見かけの拡散係数を合わせた解析の可能性を検討、これも2018年秋の国際磁気共鳴医学会乳房画像ワークショップで発表し、さらに大規模なデータの検討を進めている。また、超高速画像においては動脈の描出と同定が従来よりも格段に容易であるが、その画像に対してさらに適切なフィルターを書けることにより通常の条件では埋もれていた細かな血管の描出に成功し、この成果も学会発表し、以後継続して取り組んでいる。血管に基づく解析という面では、従来行っていたArterial Venous Interval、および同様に血管に特異的な画像として代表者が取り組んでいる光超音波での血管描出技術と合わせ、血管からみる新たな癌へのアプローチを、治療効果予測へとすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
掲げた目標は、圧縮センシング、View sharingなど高速撮像をサポートする技術を用いての 1)乳房の超高速造影ダイナミックMRIの画質改善、撮像・解析法の確立、および 2)乳腺腫瘍血流・血管評価にもとづく診断や治療効果判定・予測法の確立 である。昨年度は上記の実績の概要とも被るが、高速撮像の半定量解析として、Maximum Slope、およびTime to enhanceの解析を行い、それらの成果を国内外の学会で発表、論文にも投稿した。これらの成果は高速撮像法の新たな試みとして国内外で注目を浴び、代表者は国際磁気共鳴学会のワークショップや乳癌画像研究会、ソウルで韓国の磁気共鳴医学会と併催で行われたICMRIなどの国際学会にも招待講演を行う機会を得、本手法の普及に努めている。 また、MRI装置メーカーおよび解析Viewerソフト会社と解析ソフトの開発や、専用解析ソフトのリリースに向けて数々の助言を行ってきた。また、圧縮センシングに先行して行ったView sharingを用いた高速撮像での100例余りのデータをMaximum slopeなどを用いて解析し、その結果も北米放射線学会をはじめとする国際学会で発表、現在論文を投稿中である。 画像のうち血管に注目した取り組みは、フィルタリングなど画像の最適化による描出血管の増加という成果を得ているが、現在は2D のMaximum intensity projection(MIP)画像での成果であり、今後は3Dでの検討に向けた開発を行っていく予定である。また、臨床での圧縮センシングを用いた症例数は今や350を超えており、サブタイプや組織型を考慮した解析や、治療効果に関する解析など、様々な解析、サブ解析の可能性が出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在進行中の検討をまとめて論文として発表することが挙げられる。また、関連演題はすでに五月の国際磁気共鳴医学会や七月の乳癌学会での発表が決まっており、それらの準備を行う。高速撮像の半定量解析として、Maximum Slope、およびTime to enhanceの解析は、例数を増やしてのより確かなエビデンスとしての解析や、数百例が利用可能であるためArtificial Intelligenceの利用も視野に入れた大量のデータ解析も可能となるようにデータ取得を進めていく。先に挙げた画質の改善による血管像を用いた解析は、3Dでの応用に向けてソフトの開発を進めていく。 また、超高速撮像法の利点として、背景の造影効果(Background parenchymal enhancement: BPE)が強くならないうちに、血流の豊富な癌が背景からくっきり描出されることが挙げられるが、これについては本年度は多数症例での検討を重ねて学会発表および論文化を目指していく。 学会発表は昨年度の後半からようやく周囲の関心・理解が高まり、口演をおこなう機会も増えてきた。したがって、今年度は成果発表の機会を増加させ、各所での意見交換を行い次の開発へのアイデアを考える予定であり、その分の予算を昨年度分から今年度分へと移動させている。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での発表などが、当初の予定よりも後半の期日となったため
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