研究課題/領域番号 |
18K07688
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長谷川 智之 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10276181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PET / 品質管理 / 定量性 / 校正 / 医学物理学 / トレーサブル点状線源 |
研究実績の概要 |
本研究は、PET装置(PET/CT装置等の融合型装置、研究用小動物PET装置、乳房専用型等の特殊PET装置他を含む)の物理的品質管理における校正・定量性評価の質を向上させることを目指し、研究代表者らが世界に先駆けて考案したトレーサブル点状線源を利用する新しい品質管理手法の開発を進めることを目的とする。 トレーサブル点状線源の開発については、アルミ吸収体Na-22タイプとアクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプの2種類を対象とした。前者は開発済みと位置づけ、購入済みの線源を使用して研究を進めた。後者については製造方法等を含めて改良を検討した結果、2018年度は既に保有する5つの線源を使用して研究を進めるとともに、新規購入については研究計画に基づき本研究期間中における最適な納品時期を検討し、2019年度とすることとした。 校正・評価プロトコルの開発・検証については、従来からの継続・発展として、アルミ吸収体Na-22タイプを用いる品質管理法について中・長期的な視点から臨床用PET装置への適用を進めた。アクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプを用いる手法については、放射能が異なる複数の点状線源を同時に有効視野内に配置する手法の開発をさらに進めた。また、全身用PET装置を対象とした全国的な展開のための準備も進め、ROI形状の最適化やROI解析の半自動化による不確かさ低減に取り組んだ。また、乳房専用PET装置(PEM装置及びdbPET装置)を対象とした専用ファントム及び評価プロトコルの開発を進め、新たな連携施設の協力を得ながら着実に研究成果を出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トレーサブル点状線源の開発についてはアルミ吸収体Na-22タイプとアクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプに対象を絞ったこと、アクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプの新規購入時期については検討の末、2019年度としたこと、いずれも当初の研究計画に準じた状況である。また、既に所有する5つのアクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプを活用して複数のトレーサブル点状線源を同時に使用する測定方法の開発を進展させることができた。校正・評価プロトコルの開発・検証について、全身用PET装置を対象とした全国的な展開については未だ準備段階にあるが、一方、乳房専用PET装置を対象とした校正・評価法の開発に着手して、新たに複数の連携施設の協力を得ながら着実な研究成果を出すに至ったことは大きな進展であった。以上を総合的に評価すると、今後も当初の研究計画に沿って着実に研究成果を出すことを期待でき、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
アルミ吸収体Na-22タイプのトレーサブル点状線源については開発済みと位置づけ購入済みの線源を使用する。アクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプのトレーサブル点状線源については、放射能減衰によりお互いに線源放射能が異なる5つの現有線源を有効活用しながら、2019年度には、新たに2つの線源を、仕様並びに製造方法を一部改良した上で、納品時期をずらして購入し以下研究に供する。アルミ吸収体Na-22タイプを用いる品質管理法については、引き続き中・長期的な視点から、臨床用PET装置への適用を継続し検証を進める。アクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプを用いる校正・評価法については、トレーサブル点状線源のみを用いる校正定数評価法、トレーサブル点状線源とファントムを組み合わせる定量性評価法の2つを軸に全国的な展開をさらに進めるため、連携施設を拡大していく。その中で、全身用PET装置のみではなく、小動物PET装置、乳房専用PET装置など、特殊なPET装置も対象として幅広く新手法の展開を図る。そして、当初の研究計画に準じて着実に研究成果を出すよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、トレーサブル点状線源(アクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプ)の購入時期を2018年度ではなく2019年度としたためである。なお、本トレーサブル点状線源の購入時期と個数については、研究計画においても研究の進捗状況に応じて最適な時期や個数を決定することとしている。その使用計画としては、2019年度に合計2個の線源を購入すること、線源放射能の減衰と半減期を考慮し、納品時期を少しずらすことを計画している。
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