本研究の目的は、Positron Emission Tomography(PET)装置(PET/CTやPET/MRIなど融合型装置、研究用小動物専用装置、乳房専用など部位特化型の特殊装置他を含む)の物理的品質管理において、本研究代表者らが考案したトレーサブル点状線源を利用する新手法の開発をさらに発展させることである。本研究計画におけるこれまでの実績として、レーサブル点状線源の開発については、アクリル吸収体Ge-68/Ga-68タイプに注目し、Monte Carloシミュレーションによる物理特性評価並びに仕様・製造方法の見直しにより新たに2個を試作し本研究に供した。また、校正・評価プロトコルの開発・検証と全国的な展開については、新たに協力施設を得ながら最新の全身用PET装置も対象に提案手法の検証を着実に進めた。とくに、Positron Emission Mammography(PEM)装置やdedicated-breast PET(dbPET)装置などの乳房専用装置についても新たに協力施設を得て、専用ファントム及び評価プロトコルの開発をさらに進めた。ただし、当初研究計画での最終年度にあたる2020年度は、新型コロナウィルスの影響により所属施設からの通知に従い学外に出張しての実験や研究成果発表ができない状況であったため、研究期間を1年間延長したが、残念ながら、2021年度も出張規制が継続された。幸い、2021年度から3年間で新たな研究計画が基盤研究Cに採択されたため、2022年度以降も本研究計画をさらに発展させることが可能となった。そこで、本研究計画における1年間延長しての最終年度である2021年度においては、学外施設での実験を控え、点状線源やファントムについての検討を進めるほか、PEM及びdbPETに関わる研究成果を原著論文として投稿する準備をほぼ完了させた。
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