最終年度は前年度までに探索した適切な標識条件で作成した[Ga-68]Ga-tin colloidをさらに多くのラットに投与し、小動物用PETで撮像することで、[Ga-68]Ga-tin colloidのin vivoの生体内動態を評価した。投与したラットは正常ラット、クッパー細胞除去モデルラット、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)モデルラットとした。 まず正常ラットに[Ga-68]Ga-tin colloidを投与した所、肝臓に非常に強い集積を認め、次に脾臓と膀胱に淡い集積を認めた。その他の臓器に集積は認められなかった。続いて、異なるサイズに調整したcolloidを投与し、肝臓の集積を比較した所、小さいサイズのcolloidだと肝臓の集積は低く、大きいほど肝臓の集積が強くなることが分かった。 肝クッパー細胞除去モデルラットでは肝臓の集積が有意に低下した。さらに、NASHモデルラットに投与した所、肝臓の辺縁で有意な集積低下を認め、肝臓全体でも軽度の集積低下を認めた。 以上より、我々の作成した68Ga標識スズコロイドは肝臓のクッパー細胞に特異的に取り込まれ、NASHモデルラットで正常と異なる肝の集積を示すことができた。この成果は英文の核医学専門誌に掲載された。
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