重粒子線が生成する過酸化水素(H2O2)の生物影響に対する増感因子についてマウス個体を用いて評価した。H2O2分解酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)を失活するセレン(Se)欠乏マウスを作成した。X線または炭素線をSe欠乏マウスに単回全身照射後の30日間生存率、後肢への単回照射後の脚短縮率、頭部への単回照射後の脳内レドックス状態を調べた。Se欠乏は30日間生存率を有意に低下したが、脚短縮率および脳内レドックス変化は正常マウスと差が無かった。後肢への炭素線照射直後に紫外線照射を行い、H2O2を分解してヒドロキシルラジカル生成を試みたところ、脚短縮率の増大と加速が観察された。
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