研究課題
本研究の趣旨は、理論的に術中重粒子線療法が可能な山形大学医学部の重粒子線治療施設で実臨床を行うにあったっての細々とした諸条件を検討し、解決し、研究終了後直ちに臨床試験を開始するための各種 整備を行うことである。具体的には①手術室から重粒子線治療施設までの搬送経路設計のチェックと対応、②, ③搬送に必要なストレッチャーとサブテーブルの設計、プロトタイプの作成、④CTから治療計画装置への転送速度の検討、⑤ファントムを用いた短時間での治療計画実施検証のシミュレーションの実施、⑥検討委員会設置により適応となり得る病態のピックアップとプロトコール作成である。本年とは②③の試験用ストレッチャーの設計、④CTから治療計画装置への転送速度の検討、⑤ファントムを用いた短時間での治療計画実施検証のシミュレーションの実施を実施した。また、学内診療各科、部署の理解を得るための、術中重粒子線療法の医学部全体への説明会を実施し、多数の参加を得、実施に向けた協力体制を確立した。術中重粒子線療法は全身麻酔下、開創下で行うため、実施に要する時間は短いことが要求されるが、手術室からの搬送、重粒子線治療施設でのCT撮影、データ転送、治療計画、検証、患者セットアップ、実際の照射の各時間を想定しておく必要がある。今年度実測したCT撮影時間は、頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部平均で14.7分、画像転送は平均で5.7分であった。治療計画は頭部、頸部、肺、前立腺で検証したが平均で14.0分であった。現時点での実施時間の目標は2時間以内としているが、現在得られているデータからは、2時間以内の実施に大きな障害となる作業は無いと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
3年間で行うべき6個項目中、2項目を完遂、2項目については半分程度の進捗状況となっており、全体として6項目に相当する部分が終了している。残り2年で、3項目の研究を完遂すれば、予定通りの研究成果が得られる予定で、期間の割には順調に進展していると判断している。
今までできなかった①手術室から重粒子線治療施設までの搬送経路設計のチェックと対応は建屋が完成する2019年6月以降可能となり、年度内に実施する。②, ③搬送に必要なストレッチャーとサブテーブルは設計が完了しており、年度内にプロトタイプを完成させる。⑥検討委員会は臓器対象を絞り、2020年度中に立ち上げ、プロトコール作成を完了する。一方で、治療に用いる回転ガントリー照射室の完成が当初の2020年秋から2021年春にずれ込んだことにより、一人目の患者の治療は2021年度末を予定している。
必要な支出を行ったが、若干の端数の残が生じてしまった。無理に0にはしなかった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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