研究課題/領域番号 |
18K07704
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
根本 建二 山形大学, 医学部, 理事 (10208291)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 重粒子線治療 / 術中照射 / 重要臓器 / スペース |
研究実績の概要 |
2021年稼働開始予定の山形大学の重粒子線治療施設は、附属病院と直結されており、病院の手術室から直接患者をストレッチャーで照射室に搬送可能な設計となっている。加えて、スキャンニングビームを用いるためボーラスやコリメータの作成が不要であること、回転ガントリーを備えており手術体位を維持したまま術野・標的に自由な角度で照射が可能であることなどから、理論的には世界ではじめて術中重粒子線療法を実施可能な施設であり、かつ電子線術中照射と異なり正確な治療計画の元に照射を行うこともできる。本研究では、搬送経路、実施に要する時間など、実際に実施が可能かどうか検証を行った。 開創状態でCTを撮影し、治療計画を実施後、ただちに重粒子線の照射を行う時間についても検証を行った。頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部に分けて検討を行ったが、最も時間を要した頸部でも撮影から画像転送まで24分、治療計画実施時間も最も時間を要した頸部で18分とであった。この間、実際の治療の際には外科、麻酔科、ME、看護師などは重粒子線照射室外で待機しているわけであるが、長くかかっても概ね1時間以内に、CT撮影、治療計画、患者をCT室から重粒子線照射室へ搬送、照射セットアップ、術中重粒子線治療を終了できることが示された。一方で、手術室から重粒子線治療センターへの開創状態での患者搬送実験は、コロナウィルス対応のため院内の医療体制が逼迫した状態であり、十分実施できていない。収束をまって、あるいは流行の合間を縫って、実証実験をすすめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病院全体がCOVID-19の対応に追われ、特に、今回手術室から、重粒子線治療施設への搬送実験は、手術室への立ち入りができない状況に合ったため、遅延を生じてしまった。 一方で、重粒子線治療施設内での実証実験は順調に進捗している。開創状態でCTを撮影し、治療計画を実施後、ただちに重粒子線の照射を行う時間についても検証を行った。頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部に分けて検討を行ったが、最も時間を要した頸部でも撮影から画像転送まで24分、治療計画実施時間も最も時間を要した頸部で18分とであった。この間、実際の治療の際には外科、麻酔科、ME、看護師などは重粒子線照射室外で待機しているわけであるが、長くかかっても概ね1時間以内に、CT撮影、治療計画、患者をCT室から重粒子線照射室へ搬送、照射セットアップ、術中重粒子線治療を終了できることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
手術室への立ち入りが制限が解除された段階で、開創状態で手術室から重粒子線治療センターへストレッチャー搬送する時間を測定する。同時に、各種麻酔機器、モニター類、点滴とラインの確保などにも問題が生じないか、確認を行う。 研究の最終年度に当たっており、術中重粒子線療法が可能であることが示された後は、プロジェクトチームを結成し、プロトコール作成、倫理委員会受審を経て、臨床試験としての実際の治療準備に取りかかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックのため、病院内の立ち入りや人の移動が制限されたため、本研究で行う予定であった手術室と重粒子線治療施設をフルに使った実証実験ができなかったため。
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