研究課題/領域番号 |
18K07705
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 文代 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30261811)
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研究分担者 |
中井 啓 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50436284)
湯田坂 雅子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 招聘研究員 (70159226)
白川 真 福山大学, 薬学部, 講師 (40707759)
ザボロノク アレクサンドル 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20723117)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | BNCT / カーボンナノホーン |
研究実績の概要 |
カーボンナノホーン(CNH)は、直径2-5 nm、長さ40-50 nmのグラファイト1枚でできた擬円筒状物質である。ホウ素ーカーボンナノホーン(BN-CNH)は、CNHの中にホウ素を内包、かつ外壁にも担持できるため、大量のホウ素を含有できる新しいホウ素化合物である。 U87, GL26, CT26等の培養細胞にBN-CNHを投与し、取り込みを確認した。 BN-CNH は、アグリケーションを起こしやすく、フィルターにトラップされてしまう傾向があり、ICPによる測定はさらなる検討が必要であった。カーボンの色による光学的吸収を見る方法では、BPAやBSHなどの従来の試薬より少ない投与量で同程度の取り込みが期待できることがわかった。 また、マウス下肢にCT26細胞を接種して腫瘍を作成し、尾静脈および局所にBN-CNHを投与してホウ素分布の検討を行っている。カーボンを含むため目視が可能であり、尾静脈投与では投与後1時間ではBN-CNHは肺や肝臓にはトラップされず、脾臓に多くとどまることがわかった。さらに精密な分析、投与時間による変化の検討を行う予定である。BN-CNHは直径が100-200 nm であるため、EPR 効果による腫瘍蓄積も期待できると考えられる。また局所投与では、腫瘍全体に拡散しないため投与方法に検討が必要であると考えられる。 PIXE/PIGEによるホウ素分布の測定は、マシンタイムに限りがあるためサンプルを作成した段階で測定には至っていない。 東海J-パークにおける加速器中性子源を用いた照射実験は、故障のため実行できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東海村に建設した加速器による中性子源を用いて照射実験を行う予定であったが、加速器が原因不明の故障中であるため使用できず、計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
担癌マウスへ BN-CNHを投与し、ホウ素分布の検討を引き続き行う。また、加速器照射源が使え次第、照射実験を行う予定である。またICPによるホウ素濃度測定条件の検討も引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
加速器中性子源による照射実験を行う予定だったが、故障のため実行できず、そのための予算が執行できなかった。今年度、故障が治り次第実行する予定である。
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