研究課題
第一に、Cancer Cell Line Encyclopedia (CCLE)の多層オミクスデータについて、2019年に新たにCell誌へproteomeデータが発表されたため、これを取得しマシーンラーニング解析に供するためのデータベースとして整理した。第二に、昨年度から継続していたコロニー形成法の試験間正確性についての解析を完遂した。具体的には、CCLE登録1039細胞株を用いた放射線実験に関連する9690論文を全文査読した結果、コロニー形成法で放射線感受性が評価された論文数が最も多い上位8細胞株 620論文において、SF2の変動係数が全細胞株で30%を下回ることを見出した。このことからコロニー形成法のSF2は本研究目的に合致する試験間正確性を有すると判断し、同知見を査読付き英語学術誌に論文発表した。第三に、CCLE登録株におけるコロニー形成法による放射線感受性データの網羅的取得作業を効率的におこなうためにdeep learningアルゴリズムを開発し、同知見を査読付き英語学術誌に論文発表した。第四に、同deep learningアルゴリズムを使用して網羅的文献解析を行い、CCLE登録株の放射線感受性データベースを作製した。第五に、同放射線感受性データベースの情報をマシーンラーニングで解析する際に必要な統計学的情報である実験パラメータ(放射線種、線量率、biological-、technical-replicates)を原著論文から取得し整理した。同知見を査読付き英語学術誌に投稿した。
2: おおむね順調に進展している
予定通りであるため。
CCLE登録株におけるオミクスデータおよび放射線感受性データをマシーンラーニングで解析し放射線感受性予測アルゴリズムを開発する。同アルゴリズムの蓋然性を培養細胞実験系で評価する。ただ、COVID-19感染拡大に伴い、2020年4月頃より診療・研究の存続が困難なほどの甚大な影響が出てきており、これにより研究の進行の大幅な遅延または一時的中断を余儀なくされる可能性が相当程度ある。この場合は、現在までの知見をまとめてしまい、学会や学術誌に先行発表する選択肢は十分ありうる。もしそうなったとしても、現在まで得られている研究データは新規知見であるため、本研究課題の成果は相当程度あると判断している。
年度の後半に予定していた学術集会参加の予定が中止となり,旅費を中心とした残余額が生じた.次年度は研究の打ち合わせを遠隔で行う方針となったため,オンライン会議や各種資料作成のための物品費に充当する予定である.
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 ページ: 4148
https://doi.org/10.3390/ijms20174148
Radiotherapy and Oncology
巻: 139 ページ: 87
https://doi.org/10.1016/j.radonc.2019.07.003