研究実績の概要 |
疾患特異的な神経活動異常の同定を可能とすべく、安静時fMRI解析法の最適化と新規バイオマーカーの開発を目指し研究を進めた。①これまでの研究結果に基づき自発性神経活動の動態解析法を開発を引き続き進めた。resting-state networks (RSNs)の同期性活動に加え、全脳性伝播性活動の詳細を明らかにすべく、両者の信号を分離して同定する解析法開発を試みた。具体的にはHuman Connectome Projecrが提供する大規模健常者データに、temporal independent component analysis (ICA)を応用することで(通常のspatial ICAでは得られない広範性成分の同定が可能となる)、再現性のある全脳性成分の分離を行った。各成分に対し時間差解析を行い、同期性ネットワークの由来として複数のネットワークをまたいで全脳伝性に播性する成分とネットワーク毎に固有な同期性成分のそれぞれの寄与度を推計した(投稿中)。②並行して新たな神経活動異常検出法を開発するために、自発性神経活動の時空間的非対称性を鋭敏に検出するため解析法開発を進めた。安静時fMRIを用い、臨床上最も有用性の高い言語野、優位半球同定を自動で行うための解析法を開発した。また、fMRIデータをmulti-echoで取得し、信号合成によるノイズ低減を行う一方、信号変動のエコー依存性を解析することにより、信号の由来が神経性であるかノイズであるか判定する統合的マルチエコーデータ解析法(Kundu et al. 2013, 2017)を応用し、この有用性と合わせて報告した(Amemiya et al. MRM 2019、JRS秋季大会 2018、ECR 2019)。
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