研究課題
巨視的神経回路の情報動態解析および異常の定量から新規バイオマーカーを得ること、又、その連携・相互作用を司る機構を明らかにすることを目指し、引き続き安静時fMRI解析法の開発を進めた。これまでの研究に引き続き、安静時fMRIの全脳性信号および局在性信号の動態解析を行った。具体的には、ヒト安静時fMRIにおける全脳広汎性の信号とresting state networksと呼ばれる大域的ネットワークのそれぞれの信号の成因と信号時間差の由来を調べるため、実験1:Human Connectome Projectが提供する大規模健常者データに時間的独立成分分析を応用することで、複数の広汎性信号の分離を行い、広汎性およびネットワーク局在性成分それぞれのblood oxygenation level dependent (BOLD)信号を得た。実験2:広域神経細胞の同時刺激を可能とする視覚刺激装置を作成し、健常被検者における同期性神経活動に由来する広域BOLD信号を計測した。また、同一被検者から安静時fMRIデータも取得し、頭蓋外動脈信号と広汎性信号の関係も調べた。これらのデータを統合的に比較し、BOLD信号時間差の空間分布が①刺激誘発性神経活動、②自発性神経活動、③その他の生理現象のいずれであっても高度に一致することを示した。これよりBOLD信号時間差が神経由来か否かに依らず、刺激・トリガーの時間差ではなく血行動態応答関数の違いを表していること、全脳広汎性信号が、頭蓋内外広域でほぼ同期した生理的な血流・血圧変化を反映する可能性が高いことを明らかにした。引き続き血行動態とBOLD信号の関連の詳細を検討するため、arterial spin labeling法(ASL)を用いた血流、血行動態計測との比較を試みている。予備実験にて、IMP SPECTと比較したASL法の計測特性や再現性を確認し、報告している。
2: おおむね順調に進展している
計画に沿って研究データ取得、解析を施行した。
計画に沿って研究データ取得、解析を進める。また結果につき、学会および論文にて発表を行う予定である。
COVID-19による学会中止、延期
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
J Magn Reson Imaging
巻: 55 ページ: 178-187
10.1002/jmri.27823
巻: NA ページ: NA
10.1002/jmri.28122
10.1002/jmri.27996.