研究課題/領域番号 |
18K07712
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大石 直也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40526878)
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研究分担者 |
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00362583)
鈴木 崇士 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10572224)
杉原 玄一 京都大学, 医学研究科, 助教 (70402261)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MRI / 脳 / ノイズ除去 / 深層学習 / GPGPU |
研究実績の概要 |
MRIに代表される非侵襲的脳画像法は、その画質の向上に伴い基礎・臨床医学の発展に大きく寄与してきた。しかし、ハードウェアや撮像時間の制約に伴う画像のノイズは解析や解釈上の障害となっている。このような現状を鑑み、申請者はこれまでGPGPU(General Purpose GPU)で超高速化した高精度ノイズ除去アルゴリズムおよびリアルタイムにノイズ除去パラメータを可変できる画像ビューアを独自開発し、その有用性を明らかにしてきた。近年、深層学習の登場により機械学習的アプローチが飛躍的に進歩しており、ノイズ除去においても有用性が示されつつある。本研究の目的は、脳画像に適した深層学習ベースの高精度ノイズ除去アルゴリズムを開発し、精神疾患患者を含むヒトや小動物の脳MRIに適応し、基礎・臨床応用の可能性を明らかにすることである。 2019年度では、2018年度に開発した3次元MRIを用いたノイズ除去深層学習技術を応用させることで、脳主幹動脈閉塞患者の拡散強調画像から虚血コアの同定と予後予測を同時に学習させる深層学習アルゴリズムを新たに開発し、従来手法より高精度に予測できることを論文出版した。さらに、7T-MRIを用いた健常者・慢性期外傷性脳損傷患者・うつ病患者の形態MRI、安静時fMRIなどのデータ収集を継続して行った。小動物については、精神疾患モデルラットの形態MRIをノイズ除去手法を含めて解析し、健常ラットとの相違について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①MRIに適した深層学習ベースの高精度ノイズ除去アルゴリズムの開発に関して。2018年度に構築した3次元形態MRIを用いたノイズ除去深層学習技術をさらに発展させることで、脳主幹動脈閉塞患者の拡散強調画像から虚血コアの同定と予後予測を同時に学習させる深層学習アルゴリズムを新たに開発した。本手法が従来手法より高精度に予測できることを論文出版するなど当初の計画通りに進展している。 ②小動物(ラット・マウス)によるノイズ除去技術の検証に関して。精神疾患モデルラットの形態MRIの解析を行い健常ラットとの相違を明らかにするなど、当初の計画通りに進展している。 ③ヒト(健常者および精神疾患患者)によるノイズ除去技術の検証に関して。7T-MRIを用いた健常者、慢性期外傷性脳損傷患者、うつ病患者などにおける形態MRI、安静時fMRIを継続して収集できており、当初の計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、本研究はおおむね順調に進展しているため、2020年度も当初の研究計画に基づいて推進していく。 ①MRIに適した深層学習ベースの高精度ノイズ除去アルゴリズムの開発に関して。収集したヒト・小動物のMRIを用いたノイズ除去性能の検証を行うとともに、必要に応じてアルゴリズムの改良を行っていく。ビューアについても開発・改良を加えていく。 ②小動物(ラット・マウス)によるノイズ除去技術の検証に関して。引き続きデータ収集を行うとともに、現在解析中の結果を論文等で発表する。 ③ヒト(健常者および精神疾患患者)によるノイズ除去技術の検証に関して。7T-MRIのデータ収集を継続して行っていくとともに、得られたMRIのノイズ除去性能検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で2020年2月~3月の7T-MRI撮像数が当初の予定より減ったため次年度使用額が生じた。これは引き続き7T-MRIの撮像費用に充当する予定である。
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