研究課題
本研究は、肺癌の3次元CT画像データから病理組織診断の予測や病理学的浸潤成分による悪性度予測を行う為の人工知能システムを基礎工学部と共同で開発し、また、その画像学的診断能を放射線科医の診断能と比較・検討することで、放射線科医の為の画像診断補助システムの構築に役立て、それらの技術発展を目指すことである。1. CT画像データの抽出:平成30年度に引き続き、当院で撮像した超高精細CT(0.25㎜厚、2048マトリックス)による肺腺癌のCT画像157例分を抽出した。2. 人工知能の学習データの準備と人工知能の構築:当施設、広島大学放射線科、国立がんセンターの肺腺癌のCTデータのうち、画像データの使用が可能であった285例を用いて構築した人工知能である2次元畳込みニューラルネットワーク(2D-CNN)、3次元畳込みニューラルネットワーク(3D-CNN)の上皮内癌(AIS),微少浸潤性腺癌(MIA), 浸潤性腺癌(IVA)の診断能を昨年に引き続き再解析した。3. 放射線科医師による評価実験:経験数の異なる放射線科医師3名に上記の285例に対して、主観評価によるAIS、MIR、IVAの予測を行ってもらい、その後、診断精度が高かった3D-CNNを用いて、各放射線科医師に再診断を行ってもらった。これらの結果をもとにして、人工知能の使用が放射線科医師の診断能に与える影響について統計的に解析した。4. 人工知能の診断過程の解明:人工知能が肺腺癌の病理組織分類を行う上で、どこに着目して診断結果を出力したのかをGradient-Weighted Class Activation Maps (Grad-CAMs)を用いて視覚化した。人工知能の着目部位を実際のCT画像と対比することで、その特徴部位について検討した。
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European Radiology
巻: 31 ページ: 1978-1986
10.1007/s00330-020-07339-x.