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2021 年度 実施状況報告書

去勢抵抗性前立腺癌のRa-223療法におけるNaF PET/MRの有用性検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K07714
研究機関神戸大学

研究代表者

野上 宗伸  神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30464267)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードPET/MRI / 深層学習 / 高速撮像法 / 定量解析 / BPL / ZTE
研究実績の概要

骨転移巣を有する去勢抵抗性前立腺癌患者は、病変による疼痛のため検査のための仰臥位安静が困難である場合が多い。このため、高速撮像法の開発は本研究で必須となる。前年度開発を行った、PETの高速撮像のためのBayesian Penalized Likelihood(BPL)法における至適パラメータ(β値)を用いて、撮像時間を短縮した全身PET/MRIの画像再構成を行い、従来法と病変の検出能や診断能の比較を行った。その結果、BPL併用高速撮像法は従来法と比して診断能は同等であり、撮像時間の長いT2強調画像を省略しても診断能は担保されていた。本研究結果は米国核医学会2021にて発表を行った。
去勢抵抗性前立腺癌の骨転移巣をPETを用いて定量的に診断するためには、正確な画像再構成が必要である。特に骨はガンマ線の減弱が強いため、正確な減弱補正が必要である。PET/CTではCTを用いて減弱補正を行う事が出来るが、MRIでは骨と他の組織との分離が困難であるため、従来のPET/MRIにおける画像再構成法では、骨成分を無視した減弱補正を行っていた。MRIによる骨組織の検出は、その短いT2緩和時間や少ないプロトン密度のために、困難とされてきた。今回Zero echo time (ZTE)法を用い、骨組織の描出を行うとともに、MRIから深層学習を用いて疑似CTを作成し、PETの画像再構成を行う検討を行った。その結果、深層学習を用いてZTEから骨を生成して得られた減弱補正法は、従来のPET/MRI減弱補正法よりも、PET/CTに近い定量値を算出する事が出来た。本検討結果は、欧州核医学会2021にて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

計画どおり進捗している事項:全身PET/MRI撮像のための至適プロトロとコールの確立法は、高速撮像を行いながら画質と定量性を担保する手法を開発出来、また複数の国際学会を含む学会発表を行う事が出来ており、順調に進捗していると考える。特にMRIから骨を描出するZTEによる疑似CT生成と、これによる画像再構成が骨病変におけるPETの定量値を向上させるとする研究結果は、今年度の特筆すべき成果である。
計画から遅延している事項:依然として本研究計画で用いる予定の放射性医薬品フッ化ナトリウム(NaF)を合成する体制に遅延が生じている。放射性医薬品に精通した薬剤師が必要であり、特に院内では人的リソースが不足している。昨今のCOVID-19の流行に伴い、院内の薬剤師に関するリソース不足はさらに深刻となり、現時点で院内NaF合成に関する目途は立っていない。
以上より、本研究計画におけるPET/MRI撮像法の確立に関してはほぼ計画通り進捗し、新たな知見も得られているが、NaF合成に関しては遅延しており、全体としてはやや遅延しているとの判断される。

今後の研究の推進方策

得られた至適β値を用いたBPLによる全身高速撮像PET/MRI検査を臨床症例に応用し、前向きにデータ収集を行い、その有用性を検討する。MRIから骨情報を抽出するZTE法の撮像と深層学習による疑似CTの作成とPETの画像再構成を行うとともに、従来法である2 point Dixon法を深層学習して得られる疑似CTを用いた画像再構成と、その定量値を比較検討する。
昨年度同様、本研究計画で対象としている治療法であるRa-223内用療法に関しては全国的に症例数が減少しており、被検者のリクルートが困難な状況に変わりはない。昨年度の方針同様、治療法としてはRa-223に固執せず、化学療法や内分泌療法、あるいは放射線治療も含めて検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究計画で用いる予定の放射性医薬品フッ化ナトリウム(NaF)を合成するための放射性医薬品に精通した薬剤師のリクルートが遅延しており、この人件費の行使が遅れているため。対象としている治療法であるRa-223内用療法を行う患者が全国的に低下しているため、エントリーする症例が減少しているため。COVID-19の流行による行動制限のため、国際学会を含む旅費の行使が行われなかったため。
薬剤師に関しては雇用の目途がつき次第人件費の行使を行う。対象患者についてはRa-223内容療法にこだわらず、去勢抵抗性前立腺癌を対象とした治療を行ったものを広く対象とし、症例数を確保し検討する。2022年以降、COVID-19による行動制限は徐々に解除されており、今年度は旅費の行使を予定している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] FDG PET/MRI in Synchronous Uterine Adenocarcinoma and Leiomyosarcoma2022

    • 著者名/発表者名
      Yokoo Shiho、Zeng Feibi、Nogami Munenobu、Ueno Yoshiko R.、Murakami Takamichi
    • 雑誌名

      Clinical Nuclear Medicine

      巻: 47 ページ: e452~e454

    • DOI

      10.1097/RLU.0000000000004144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Metformin action in the gut―insight provided by [18F]FDG PET imaging2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuchida Hitomi、Morita Yasuko、Nogami Munenobu、Ogawa Wataru
    • 雑誌名

      Diabetology International

      巻: 13 ページ: 35~40

    • DOI

      10.1007/s13340-021-00545-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PET/MRI is useful for early detection of pelvic insufficiency fractures after radiotherapy for cervical cancer2021

    • 著者名/発表者名
      Azumi Maho、Matsumoto Masuyo、Suzuki Kaho、Sasaki Ryohei、Ueno Yoshiko、Nogami Munenobu、Terai Yoshito
    • 雑誌名

      Oncology Letters

      巻: 22 ページ: -

    • DOI

      10.3892/ol.2021.13037

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Physiological skin FDG uptake: A quantitative and regional distribution assessment using PET/MRI2021

    • 著者名/発表者名
      Nogami Munenobu、Zeng Feibi、Inukai Junko、Watanabe Yoshiaki、Nishio Mizuho、Kanda Tomonori、Ueno Yoshiko R.、Sofue Keitaro、Kono Atsushi K.、Hori Masatoshi、Ohnishi Akihito、Kubo Kazuhiro、Kurimoto Takako、Murakami Takamichi
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 16 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0249304

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Editorial for “Application of Simultaneous <scp>18F‐FDG PET</scp> With Monoexponential, Biexponential, and Stretched Exponential Model‐Based Diffusion‐Weighted <scp>MR</scp> Imaging in Assessing the Proliferation Status of Lung Adenocarcinoma”2021

    • 著者名/発表者名
      Nogami Munenobu
    • 雑誌名

      Journal of Magnetic Resonance Imaging

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1002/jmri.28026

  • [学会発表] Detecting and differentiating capability of quick whole-body scan for FDG PET/MRI in oncology: Utility of combination of the Bayesian penalized likelihood PET reconstruction and abbreviated whole-body MRI2021

    • 著者名/発表者名
      Junko Inukai, M.D.1), Munenobu Nogami, M.D., Ph.D., FANMB2), Feibi Zeng, M.D.1), Atsushi K. Kono, M.D., Ph.D. 1), Kazuhiro Kubo, RT2), Takamichi Murakami, M.D., Ph.D.1)
    • 学会等名
      Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Zero-TE MRI-based attenuation correction for chest FDG PET/MRI with deep learning using unpaired PET/CT data: Quantitative analysis for difference in values of normal organ and malignant lesions2021

    • 著者名/発表者名
      Munenobu Nogami, M.D., Ph.D., FANMB1), Hidetoshi Matsuo1), Mizuho Nishio1), Feibi Zeng1), Junko Inukai1), Takako Kurimoto3), Kazuhiro Kubo1) and Takamichi Murakami1)
    • 学会等名
      Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Assessment of the detection and differentiation capability of lung metastasis and the precision in fused images: Comparison between FDG PET/CT and PET/MRI with Zero-echo time (ZTE)2021

    • 著者名/発表者名
      J. Inukai1, M. Nogami1, F. Zeng1, M. Tachibana1, T. Kurimoto2, K. Kubo1, T. Murakami1
    • 学会等名
      European Association of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Zero-TE vs 2-point Dixon MRI-based Attenuation Correction for Chest FDG PET/MRI with Deep Learning: Comparison of Quantitative Values on Pseudo CT and Reconstructed PET data2021

    • 著者名/発表者名
      Munenobu Nogami, M.D., Ph.D., FANMB1), Hidetoshi Matsuo1), Mizuho Nishio1), Miho Tachibana1), Junko Inukai1), Feibi Zeng1), Takako Kurimoto2), Kazuhiro Kubo1) and Takamichi Murakami1)
    • 学会等名
      European Association of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 深層学習を用いたZTE MRIによる胸部PET/MRIの吸収補正に関する定量的検証2021

    • 著者名/発表者名
      Munenobu Nogami, M.D., Ph.D., FANMB1), Hidetoshi Matsuo1), Mizuho Nishio1), Feibi Zeng1), Junko Inukai1), Miho Tachibana1), Takako Kurimoto3), Kazuhiro Kubo1) and Takamichi Murakami1)
    • 学会等名
      第61回日本核医学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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