止血や血流改変に対する塞栓術に近年2本のバルーンカテーテルを用いたdouble balloon assisted coil embolization(double-BACE)の有用性が報告されているが、手技の煩雑さなどの問題がある。そこで側孔付き5Frカテーテル併用ダブルバルーン制御下コイル圧縮留置法(improved double-BACE technique)の発想に至った。平成30年度は側孔付き5Frバルーンカテーテルの開発を目的とした。 結果) ①側孔作成法:5Frバルーンカテーテル先端より20G金属針を挿入してカテーテル保護の後、メス刃で任意の径の側孔作成が可能であった。 ②側孔サイズ: 5Frバルーンカテーテルに対しバルーン後端より4cmの位置に、2mm、2.5mm、3mmの側孔をそれぞれ別のカテーテルに作成した。1.8Frマイクロバルーンカテーテルは、2mmの側孔では通過せず、2.5mm及び3mmの側孔で通過が確認でき、2.5mm以上の側孔が必要であることがわかった。 ③ 血管モデルにおけるimproved double-BACE techniqueの検証:内径6mmの血管モデルに対する2.5mm側孔付5Frバルーンカテーテルでの検証では、1.8Frマイクロバルーンカテーテルの側孔通過性は良好であった。8mm径35cm長のマイクロコイルを用い、5Frバルーンカテーテル及び1.8Frマイクロバルーンカテーテル閉塞下コイル塞栓術を、両バルーン距離2cm及び1cmで行ったが、1cmの方がコイル圧縮は良好であった。いずれの塞栓においてもコイルの逸脱、バルーンの逸脱は認めなかった。血管モデルにおいてimproved double-BACE techniqueは実行可能な手技であることが確認された。今後VERの検討、動物実験モデルでの検証、カテーテルの耐久性の検討が必要である。
|