研究課題
基盤研究(C)
2cm以上の未治療乳癌(浸潤性乳管癌)66症例について、APT信号と生物学的所見との比較を行った。トリプルネガティブ乳癌はluminalタイプ乳癌、HER2タイプ乳癌よりも有意に高いAPT信号を示した。Ki-67とAPT信号に弱い正の相関が認められ、Ki-67高値 (>30%)の乳癌はKi-67低値 (≦30%)の乳癌より有意にAPT信号が高かった。一方、核グレードによるAPT信号の有意差は見られなかった。これらの結果について、European Congress of Radiology (ヨーロッパ放射線学会) 2022にて発表を行い、論文がClinical Imaging誌に掲載された。
放射線医学
乳癌診療においては、組織型のみならず、ホルモンレセプターやHER2発現の有無、Ki-67などの生物学的所見が治療方針に大きな影響を与える。これらの診断には組織診が不可欠であるが、病変の一部のみでの評価となる生検材料と手術標本での結果が一致しないこともあり、侵襲度が低く病変全体を評価することのできる画像で予測をつけることは臨床的に有用である。本研究では内因性Chemical Exchange Saturation Transfer(CEST)法の一種であるAmide Proton Transfer (APT) イメージングにて計測したAPT信号が生物学的所見の予測に有用であることを示した。