研究課題/領域番号 |
18K07719
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
船間 芳憲 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (30380992)
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研究分担者 |
宇都宮 大輔 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30571046)
中浦 猛 熊本大学, 病院, 講師 (90437913)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CT線量 / 造影剤ヨード / 造影CT / シミュレーション / 管電圧 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、造影CTにおいて造影剤ヨードによる増強効果の違いが線量増加へ与える影響についてモンテカルロシミュレーションを用い詳細な検討をおこなうことである。また、線量増加が顕著な場合、線量低減を目的としたスキャンプロトコールについても議論を加える。具体的に本研究では、以下の3点について検討する。 (研究1)造影CTでの造影剤増強効果(CT値の増加)の違いに対する臓器線量の変化について明らかにする。(研究2)通常管電圧と低管電圧使用による造影CTでのCT値増強の違いから線量変化について明らかにする。また、低管電圧に対するデュアルエネルギーCTによるCT値増強についても、線量増加の観点から有用性について検討する。(研究3)小児での造影CTにおける線量増加の影響や増強効果の高い周辺臓器の影響について検討する。2019年度は研究1および2の内容に関して造影剤濃度による違いや、低管電圧と通常管電圧でのヨードの光電吸収の違いによる線量の違いについて明らかにするために、造影剤を封入可能なファントムを用いて検討した。 1)造影剤濃度が変化した場合の線量低減に関して、ファントムの中心や端側などの線量分布について検証をおこなった。均一な造影剤濃度でもファントムの中心と端側ではX線透過の影響が異なり線量分布へ違いが見られた。 2)管電圧の違いや造影剤濃度の違いが線量分布へ与える影響について検討をおこなった。低管電圧になるに従い、造影剤ヨードに与える光電吸収の影響が強くなり、ファントムの中心と端側では高管電圧に比較して線量分布に対して違いが見られた。また、低管電圧ではファントムの端側で線量が高くなり中心付近では逆に低くなる傾向を結果として導くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 1)ファントムでの検討により造影剤濃度と線量分布の関係を明らかにすることが可能となった。 2)ファントムでの検討によりファントムサイズに依存して中心と端側で造影剤による影響で線量分布が不均一になることを導くことができた。 3)ファントムでの検討により管電圧の違いによる特異的な線量分布の結果を導くことができた。 2019年度の研究目標として設定した課題を達成することができ、全体の研究課題に関して、「おおむね順調に進展している」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
2020-2021年度は研究課題として、線量増加の観点から低管電圧に対するデュアルエネルギーCTの有用性について検討する予定であり、方策として具体的に以下について実施する。 デュアルエネルギーCTは、さまざまなエネルギーでの仮想単色CT画像が作成可能であり、増強効果に関係なくスキャンの線量は一定となる。低管電圧CT画像 と対応する仮想単色CT画像の線量の違いについて明らかにする。 2018年度(初年度)に確立した、3次元的な管電流変調技術を線量シミュレーションへ組み込むことも可能であり、また使用する装置にあわせて条件を調整することも対応可能である。管電圧とヨード濃度、CT値の関係についてデュアルエネルギーCTでは管電圧(kVp)でなく仮想単色電圧(keV)となる。仮想単色電圧に対する画像からヨード濃度を推定し線量分布へ反映させるために、基礎検討ならびに臨床応用おこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度では、一部ファントムの購入をおこない物品費へ計上した。2020年度においてもデュアルエネルギーCTの基礎検討のためにファントムならびに造影剤等の物品購入が必要となり使用予定である。
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