研究課題
人体等価ファントムの作製技術、ポリマーゲル線量計の作製技術、ボーラス型ゲル線量計の開発研究、およびフルモンテカルロ計算技術により、ポリマーゲル線量計による人体リアルファントムを開発する。人体リアルファントムは人体を忠実に模した組織等価な人体モデルであり、かつ、ポリマーゲルによる組織等価型の三次元線量分布測定ツールである。この性能を利用して、従来困難であった強度変調回転放射線治療(VMAT)や強度変調放射線治療(IMRT)に対する患者個別の三次元線量分布検証について検討する。令和3年度は、精度試験や信頼性試験などにより人体リアルファントムの改良を行うとともに、国内外の関連学会へ成果を公表した。三次元線量分布が可能な人体リアルファントムとして我々は、頭頸部への外部放射線治療での歯科用合金からの散乱線評価が汎用治療計画装置では難しいことから、頭頸部放射線治療においてスペーサーとしての機能と三次元線量計としての機能を有する口腔内ポリマーゲル線量計を開発した。また、線量検証において口腔内のように温度変化が生じる体内では、最も信頼されている電離箱線量計でも温度変化による吸収線量の増減が生じることが予想されることから温度特性、臨床使用における位置誤差について検討した。その結果、ゲル化剤に1.0 wt%のアガロースを使用し、酸素透過性の低い薄膜のビニルフィルムに封入することで、口腔内へ挿入後において十分な強度と密着性を有していることを示した。また、電離箱線量計の温度特性は電離箱の種類やファントム内での温度平衡時間に差が生じることや、位置誤差が生じることを明らかにした。前述の課題があるものの、電離箱線量計のような一次元または二次元の検出器では検討できなかった三次元線量評価に口腔内ポリマーゲル線量計は有用であることを示した。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件)
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