研究課題/領域番号 |
18K07727
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
栗政 明弘 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80343276)
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研究分担者 |
桑原 義和 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00392225)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DNA損傷 / 神経組織 / 未分化 / DNA損傷応答 / 放射線感受性 / 細胞周期 / 分裂細胞 |
研究実績の概要 |
DNA損傷部位に集積する53BP1融合蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウスを用いて、海馬神経細胞のDNA損傷応答(DDR)の一つであるDNA損傷フォーカス形成を検出するマウスを作成・解析してきた。海馬神経細胞では組織中であればフォーカス形成は抑制(Off)されているが、初代培養により分散培養すると、フォーカス形成が再開(On)していた。高度に分化し組織内にある神経細胞ではDDRが抑制され、一方で未分化な状態に近づく初代培養下でDDRは再稼動する可能性が示唆された。 このDDRのOn/Off制御に関する分子メカニズムと生物学的意義を明らかにするため、本年度は生細胞のタイムラプス顕微鏡撮影条件の確立と、そのための装置の設定に努めた。生細胞のタムラプス撮影においては、大学の共通機器として新規に導入されたZeiss社製のCellDIscoverer7(CD7)の撮影条件の設定と、撮影された画像解析ソフトの開発を行ってきた。また、生細胞ならびに生きた組織におけるDNA損傷誘導のための新規に導入された共焦点顕微鏡の条件設定の確立を試みた。 共焦点顕微鏡によりレーザーを照射し、それにより生成されたDNA損傷から誘導されるフォーカス形成の程度を定量化することを試みた。海馬神経細胞と網膜神経節細胞を初代培養することにより、培養開始後1週間以内にフォーカス形成の誘導が確認できている。加えて、この誘導を引き起こす培養条件の検討についても併せて行ってきた。さらに、得られたレーザー誘導で形成されたフォーカスのタイムラプス動画画像をもちいて、画像解析用フリーソフトウェアであるImageJのマクロを用いて定量解析し、さらに統計解析ソフトウェアのRを用いて定量解析を試みた。 今後は共焦点レーザー顕微鏡および解析ソフトの改良をすすめ、DNA損傷フォーカス形成のより精度の高い解析を継続して進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に使用するマウスに関して、遺伝的な背景が揃ったトランスジーンをホモに有するマウスを継代維持してきたが、繁殖に制限があり実験に供する十分な数のマウスが得られていない。さらには、2021年2月13日に発生した福島県沖M7.3の地震による震度6強の被害が大きく、マウスの継代維持ならびにデータ解析に大きな影響が出ている。さらには、年度末の2022年3月16日にもほぼ同規模の福島県沖M7.4の震度6強の地震により同様の被害があり、さらに実験の進捗に大きな影響を及ぼしている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究の遅れを取り戻すために、1年間の研究を延長して取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年3月16福島県沖M7.4(最大震度6+)ならびに2021年2月13日福島県沖地震M7.3(最大震度6+)により研究の遅れが生じたため、次年度に研究を延長した。次年度に繰越金を随時使用していく。
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