研究課題/領域番号 |
18K07728
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
奥田 茂男 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (30233456)
|
研究分担者 |
松本 俊亮 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20573281)
山田 祥岳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383791)
陣崎 雅弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 肺動脈 / 4D Flow / 血流 |
研究実績の概要 |
MRI 4D Flow法を用いた肺動脈血流評価において、dual velocity encoding (D-VENC) を取り入れた撮像法で肺動脈末梢(2分枝以遠)の流量・流速を計測して、従来の single VENC (S-VENC)を用いる方法と比較し、末梢肺動脈血流の評価の改善を検討することが、本課題の当初の目的であった。現在、使用装置におけるD-VENC撮像は(200 cm/s, 80 cm/s)、二つの異なるVENCで撮像した画像データを融合させて作る方法であるため、撮像時間が従来の2倍かかり、また、融合画像を作成する際には位置ずれが起きて解析がうまく進まない欠点がある。 肺高血圧症を対象として4D Flow MRIで肺動脈本幹内に観測した一心拍あたりの渦流継続時間割合(Tvx%)と、平均肺動脈圧(mPAP)との間に良好な相関が報告されている(Reiter Gら)。慢性肺血栓塞栓症が臨床的に疑われ、右心カテーテル検査が予定された12名(男性7名)に対してS-VENC 4D MRI を撮像し、肺動脈本幹内に描出された血流線図から、渦流の強さ及び肺動脈弁逆流の程度を視覚的に5段階評価したうえ、Tvx%を計測した。その後1週間以内に行われた右心カテーテル検査のから得られた mPAP と比較した。 症例の mPAP 平均は 71.8 mmHgであった。4D Flowにより求められたTvx%は 42.5±25.5%)、mPAPに対して相関が認められた (R = 0.91) . その中には mPAP 予測を過大評価した2例、過小評価した1例が含まれており、前者では程度の強い渦流が観察され、また後者では肺動脈弁に比較的強い逆流が認められた。Tvx%による渦流継続時間割合とmPAPは良い相関が観察されたが、渦流や肺動脈弁逆流が強い症例では留意する必要があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Dual VENC 4D Flow撮像法の開発が遅延している。従来の single VENC 法を重ね合わせる方法で代用しているが、連続性のある流線を描出することが難しい状況である。また、新型コロナ肺炎感染拡大の影響もあり、被検者のエントリーが遅れたことも影響した。
|
今後の研究の推進方策 |
Dual VENC 4D MRI撮像の開発をさらに進めるとともに、現在の「二つのVENCで得られた画像を融合する」方法を後処理により実用に近づけられないか、合わせて検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大による被検者エントリーの遅れ、Dual VENC 4D MRI撮像法改良の遅れにより、研究計画全体が遅延しているため。次年度使用額は、4D Flow後処理アプリケーションの延長リースに充当する予定である。
|